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ブラジル、アマゾン伐採加速 貿易協定に影響も

【サンパウロ=外山尚之】ブラジルのアマゾン熱帯雨林で森林伐採が加速している。新型コロナウイルスの感染拡大により警備が手薄となるなか、伐採面積は前年同期を3割超えるペースで広がる。森林開発を促す法改正も進みつつあり、自由貿易協定(FTA)締結で合意した欧州を中心に反発が出ている。

ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると1~5月の伐採面積は、東京都の面積に匹敵する2032平方キロメートルと前年同期比32%増で、過去5年間で最大となった。アマゾンでは乾期が始まる5月から伐採が本格化するため、今後さらに加速する恐れもある。

アマゾン熱帯雨林がある北部は感染爆発のさなかで、ロックダウン(都市封鎖)も実施されている。地元の環境非政府組織(NGO)IPAMが「善良な市民や警察がウイルス対策に追われている間、土地泥棒が活動している」と主張する。

ボルソナロ政権は貧しいアマゾン地域の経済開発を推進する。2019年1月の政権発足以来、農地や牧草地の開拓のための放火や森林伐採が増加。フランスのマクロン大統領らが批判したが、大統領令で違法伐採の罰金徴収すら停止されている。

ボルソナロ政権は違法伐採に対する軍の派兵を進めるなど、表向きは森林伐採への対策をとるとしていた。だが5月にはサレス環境相が「メディアが新型コロナのことだけ報じている今が(森林開発を促進する法改正の)チャンスだ」と述べた閣議の動画が公開され物議を醸した。

欧州を中心に非難が強まっている。オランダ下院は3日、ブラジル政府が森林保護に非協力的だとして、ブラジルが加盟する南米南部共同市場(メルコスル)と欧州連合(EU)が昨年6月に合意したFTAから撤退するようオランダ政府に求める議決を可決した。

民間からも反発の声が上がる。英テスコやスウェーデンの年金基金、AP7など欧州の40以上の企業・団体はボルソナロ政権が進める森林開発を促す法改正が実現すればブラジル製品をボイコットすると宣言した。ロイター通信などによると、世界の29の投資機関は環境保護を求める書簡をブラジル政府に送った。

ブラジルは新型コロナ感染者数と死者数の双方で米国に次ぐ世界2位。世界銀行はブラジルの20年の成長率をマイナス8%と予想するが、アマゾンの森林伐採を巡り、FTAへの逆風やブラジル製品の不買運動が進めば、さらに下押しの可能性もある。

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