北海道の7信組は4信組が最終増益、コロナで資金需要高く

地域金融
北海道
2020/6/26 18:30
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北海道では企業の資金需要が高まっている(24日、札幌中央信用組合の本店営業部)

北海道では企業の資金需要が高まっている(24日、札幌中央信用組合の本店営業部)

北海道内に本店を置く7信用組合の2020年3月期決算が出そろった。新型コロナウイルスの感染拡大による企業の経営悪化で資金需要が高まり、4信組が最終増益だった。貸出金利回りの低下や株価の乱高下といった不安定要因は残されたままで、高水準の資金需要をどこまで収益につなげられるかが問われる難しい局面も続く。

札幌中央信組(札幌市)の純利益は27%増の1億6700万円。19年10月の消費増税や日韓関係の悪化に新型コロナの経営悪化が加わり、資金需要は年間を通じて高かった。店舗の統廃合による経費削減も加わった。空知商工信組(美唄市)も中小企業向け貸し出しが堅調で資金利息収入が増え、純利益は55%増の2億2000万円だった。

新型コロナによる逆風は決算にも色濃く表れた。最終減益となった3信組では、ウリ信組(札幌市)が期末にかけての株価下落で国内株の売却損が響いて53%減。北央信組(札幌市)は個人向けローンの減少や債券売却益の減少で12%の減益だった。釧路信組(釧路市)は低金利競争が加速して融資残高が減り、純利益は1億8700万円と39%の減益だった。

本業のもうけを示す実質業務純益は5信組で増益で、いずれも融資による利息収入や債券運用収益が要因だ。十勝信組(帯広市)は賃貸マンションや太陽光発電事業向けの融資が伸び、48%増の2億8000万円に。函館商工信組(函館市)は新規事業先や個人向けローンの貸し出しが好調だった。債券運用の収益も増えて93%増の5800万円だった。

預金に占める融資の比率(預貸率)は全信組が50%以上を確保している。73%と全信組で最も高かった空知商工信組は地方公共団体向けの融資やアパートローンなど、札幌地区での不動産関連の資金需要が多かった。

貸出金利回りは5信組で低下しており、稼ぐ力の弱体化にも終わりは見えない。利回りが0.1ポイント下がった函館商工信組では低利回りの自治体の制度融資の活用が膨らんだのが原因だ。利回りが改善した2信組では釧路信組が個人向けローン融資を拡充したのが奏功し、札幌中央信組は金利の高い企業向けの融資を伸ばしていた。

21年3月期は景況感の悪化を見込む向きが目立つ。札幌中央信組は「自粛ムードは払拭されておらず、急減した需要の回復には相当な期間を要する」(資金経理部)と想定。景況感は5~6月を底に改善するとした北央信組も、コロナ前の水準まで回復するには「道内の消費需要は秋ごろまで、インバウンド需要は2~3年要する」(総務部)と厳しい見方を崩していない。

新型コロナによる企業の経営悪化で今後も企業の資金需要が高まるとの見方は多い。十勝信組は「ほぼ全業種から資金相談が増加しているため、終息まで需要が増える」(総務部)とみる。

北海道の信組は長く中小企業の経営に寄り添ってきたノウハウを最大限に生かし、柔軟でスピードのある資金供給ができるかが顧客に選ばれる条件となりそうだ。

(塩崎健太郎)

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