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アンジェスのコロナワクチン、治験の詳細明らかに

アンジェスが開発中のDNAワクチン(大阪大提供)=共同
日経バイオテク

アンジェスは25日、大阪大学などと共同開発している新型コロナウイルス感染症に対するDNAワクチンについて、大阪市立大学医学部附属病院と治験契約を締結したと発表した。コロナウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質の遺伝情報を体内に送り込んで免疫をつけるDNAワクチンを用いて、第1相・第2相臨床試験(治験)でワクチンの安全性と免疫原性(免疫応答を誘発させる能力)について評価する。実施期間は2020年6月末から21年7月末の予定だ。

免疫原性を高めるため、免疫反応を増強させるアジュバントを添加し、筋肉内注射で投与する。接種後は、体内でスパイクたんぱく質がつくり出されるとともに、アジュバントにより自然免疫が活性化され、ウイルスの働きを抑える中和抗体などがつくられると期待される。ただし、アジュバントの詳細や投与に特殊な器具を用いるかどうかなどは「公表できない」(アンジェスの広報担当者)という。

臨床試験の詳細は以下の通り。対象は20歳以上65歳以下の健常者30人。PCR検査で新型コロナウイルス陰性、抗体検査で新型コロナウイルスに対するIgM抗体とIgG抗体がいずれも陰性と確認され、本人の意思による同意が得られた場合に対象とする。一部では、大阪市大附属病院の医療従事者を対象とすると報じられていたが、「臨床試験の募集会社が参加者を募集しており、医療従事者に対象を絞っているわけではない」(アンジェスの広報担当者)という。

30人を低用量群あるいは高用量群に割り当て、低用量群にはワクチン1.0ミリグラムを、高用量群には2.0ミリグラムを、2週間間隔で2回注射する。低用量群と高用量群の人数などについては、公表されていない。

主要な評価項目は安全性と免疫原性だ。安全性については、1回目の接種から8週後までに発生した有害事象の種類、頻度、重症度などを評価する。免疫原性については、接種前(ベースライン)、1回目の接種から2週後(2回目の接種直前)、4週後、6週後、8週後に採血を行い、スパイクたんぱく質に対する特異的抗体価のベースラインからの変動をみる。さらに、1回目の接種から8週後以降、52週後までのより長期の安全性と免疫原性についても評価する。

海外などで開発されている新型コロナウイルス感染症のワクチンは、安全性を評価する第1相臨床試験、投与量などを評価する第2相臨床試験を経て、大規模な第3相臨床試験で安全性、有効性を評価するケースが多い。ただ今回は、第1相と第2相の臨床試験を一度に行う設計になったようだ。アンジェスの広報担当者は「第3相臨床試験がどのようになるかは、現時点では決まっていない」とし、第3相臨床試験についてはコメントしなかった。

なお、新型コロナウイルス感染症に対しては、メッセンジャーRNA(mRNA)を使ったワクチン、ウイルスを運び手とするウイルスベクターワクチン、DNAワクチンなど、比較的新しいモダリティ(手法)のワクチン開発が世界で先行している。ただ、「いずれも現状の製造設備では製造・供給量に限りがある上、これらのモダリティのワクチンの接種経験は世界でも限られている。そのため、仮に臨床試験で安全性、有効性が確認されても、こうしたワクチンを一般の健常者に対し、広範に接種することになるとは考えにくいだろう」と複数の専門家は指摘している。

(日経バイオテク 久保田文)

[日経バイオテクオンライン 2020年6月26日掲載]

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