リニア、27年開業延期の公算 JR東海と静岡県合意できず

地域総合
2020/6/26 15:25 (2020/6/26 18:44更新)
保存
共有
印刷
その他

初の会談に臨むJR東海の金子慎社長(左)と静岡県の川勝平太知事(26日、静岡県庁)

初の会談に臨むJR東海の金子慎社長(左)と静岡県の川勝平太知事(26日、静岡県庁)

工事が中断しているリニア中央新幹線の静岡工区をめぐり、JR東海の金子慎社長と静岡県の川勝平太知事は26日、初のトップ会談を県庁で開いた。JR側が「工事を月内に再開できないと2027年の開業は難しい」と伝えたのに対し、知事は環境対策などを理由に明確な言及を避けた。会談は平行線に終わり、リニアの27年開業は遅れる公算が大きくなった。

会談後、川勝知事は南アルプスを貫くトンネル入り口周辺の土地整備や森林伐採といった準備工事について「本体工事と一体で認められない」と記者団に述べた。国の有識者会議で水資源など環境への影響を議論していることから、その結論が出るまで工事は認められないとの考えを示した。

26日は県庁の玄関で知事が直接出迎えた後、午後1時半から2人きりで1時間20分ほど会談した。やり取りはインターネットを通じて生中継した。

会談で金子社長は「一番の目的は東海道新幹線のバイパスを作ること」としたうえで、災害時に東京―名古屋―大阪をつなぐ基幹交通網を維持するためにも「(工事の再開は)早い方がいい」と理解を求めた。

これに対し、川勝知事は「リニア自体には反対していない」としたものの、「リニアと環境をいかに両立するかを考えなくてはいけない」と指摘した。金子社長が工事再開を再三求めたのに対して明確な回答を避けた。

リニアは最高時速約500キロで、品川―名古屋間を40分で結ぶ。東海道新幹線より約1時間短縮される。JR東海は27年の開業に向けて沿線各地で工事を進めているが、山梨、静岡、長野の3県を通る南アルプストンネルは静岡工区のみ工事が滞っている。工事の許可権限を持つ川勝知事が「工事は大井川の流量減少につながりかねない」として認めていないためだ。

会談後、金子社長は記者団に対し「大変有意義だった。(工事再開の)お願い自体は受け止めていただいたと思う」と述べたうえで、「実際27年開業が困難なのか、これからどうするか持ち帰って検討しなければならない」と続けた。

静岡工区は現在、トンネル掘削の前段階にあたる準備工事が中断している。金子社長は5月の記者会見で工事を6月中に再開できなければ「27年の開業が難しくなる」と述べ、知事に直接会談を申し入れていた。

知事は11日に現地を視察後、「トンネルを掘るための工事なら本体工事と一緒だ」と表明。16日に知事と協議した県内の流域10市町の首長らも同様の意見だった。

JR東海と静岡県の協議が難航していたため、国土交通省は4月から有識者会議を立ち上げ、大井川の水資源を議論している。県や流域市町は、工事再開の是非は有識者会議の結論が出てから判断すべきだと主張していた。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]