FRB、米銀の配当制限 「コロナ耐性」強化求める

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2020/6/26 6:19
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FRBは米銀大手に自社株買いと増配の停止を求めた(首都ワシントンの本部)=ロイター

FRBは米銀大手に自社株買いと増配の停止を求めた(首都ワシントンの本部)=ロイター

【ニューヨーク=宮本岳則】米連邦準備理事会(FRB)は25日、米国の大手銀行グループ34行を対象にしたストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。新型コロナウイルスの感染拡大による深刻な景気後退に直面しても、自己資本は全ての銀行で最低基準を満たす結果となった。不況への耐性強化のため、自社株買いや配当の増額は認めないと表明した。

FRBのストレステストは金融危機の反省を踏まえ、深刻な景気悪化や市場の混乱を想定した過酷なシナリオのもとでも、銀行が十分な資本を確保できるかどうかを点検する。今回はコロナ感染拡大に伴う分析項目を加えた。具体的には景気回復の軌道について「V字型」、「U字型」、「W字型」の3通りのシナリオで、銀行の財務基盤の耐性を検証した。

3つのシナリオでは失業率がピーク時に15.6%~19.5%に上昇すると想定した。厳しい想定下で34行合計の貸倒損失は5600億~7000億ドル(59兆~74兆円)に膨らむ。狭義の自己資本のなかでも普通株などに限って算出する自己資本比率への影響を試算したところ、全体では19年末の12.0%から7.7~9.5%に低下するが、規制が求める最低水準は上回った。

FRBで規制を担当するクオールズ副議長は同日公表した声明で、米大手銀の健全性を強調した。「2007~09年の金融危機時と異なり、米大手銀は高水準の自己資本と流動性を確保した状態で、今回の危機を迎えた」と指摘し、「最も厳しい景気後退シナリオでも、銀行システムは良好な資本水準を確保できる」と述べた。

金融システムの健全性を強調する一方で、米銀の株主還元には歯止めをかけた。FRBは米大手銀に対し、20年7~9月期も自社株買いの実施を停止するよう求めた。米銀大手は3月以降、自主的に買い戻しを止めていた。株主配当の増額も認めず、直近の利益水準に見合った還元を求めた。

クオールズ副議長は株主還元の制限について「コロナ問題の進展について、より分析しなければならない」と指摘し、資本を手元に確保する必要性を強調した。株主還元を巡っては一部の米民主党議員や元FRB関係者が「配当を一時的にやめて、資本を中小・零細企業や家計を支えるために使うべきだ」などと主張していた。

米銀大手は今回のストレステストの結果を受けて、29日にも株主配当など資本計画を公表する。

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