米当局、米銀のVC出資規制を緩和 経営自由度高める

金融最前線
2020/6/26 6:02
保存
共有
印刷
その他

【ニューヨーク=大島有美子】米連邦預金保険公社(FDIC)など米金融監督当局は25日、預金を取り扱う米銀にリスクの高い投機的取引を制限する「ボルカー・ルール」を緩和する改定案を承認した。ベンチャーキャピタル(VC)ファンドなどへの出資が認められる。米金融機関の経営の自由度を高める。

米銀にとっては大きな規制緩和となる(ニューヨーク)=ロイター

新たなルールは10月1日から適用する。1月に米連邦準備理事会(FRB)が見直し案をまとめており、米金融界などの意見を踏まえて作業が続けられていた。FRB、FDICと米通貨監督庁(OCC)、米証券取引委員会(SEC)、米商品先物取引委員会(CFTC)が25日までに承認した。

ボルカー・ルールは銀行に対し、プライベート・エクイティ(PE、未公開株)やVC、ヘッジファンドへの大規模投資を禁じている。今回の改定では投資制限の対象からVCを除外した。FRBは同日、「金融機関の資本形成を容易にし、中小企業はこれまで資金が行き届きにくかった分野に投資しやすくなる」と説明した。

一方、FDICは同日、金融派生商品(デリバティブ)の一種である「スワップ取引」の際に、銀行が前もって準備すべき証拠金を減らす案を可決した。FRBとOCCもこの変更案を承認した。米報道によると、ルール変更で米大手銀が年間約400億ドル(約4兆3000億円)確保していた証拠金が不要になるという。その分、経営の自由度が高まることになる。

こうした規制緩和を市場は好感し、米銀株は25日に急上昇した。主要行で構成するKBW銀行株指数は前日比で3.4%上昇。JPモルガン・チェースは3.4%高、バンク・オブ・アメリカは3.8%高で終えた。

ボルカー・ルールは08年のリーマン危機の反省を踏まえ、オバマ前政権が10年に整備したドッド・フランク法(金融規制改革法)の中核として盛り込まれた。自己資金を使ったリスクの大きい取引が金融システム不安につながったことを問題視。銀行に過度なリスクを取らせないよう、自己勘定取引やファンド投資を厳しく制限した。

危機後に米銀の資本が充実し、金融システムが安定するなか、当局は規制を見直してきた。今年1月には、リスクの大きい取引について売買の自由度を高められるよう基準を見直した。

一連の規制緩和はトランプ米大統領もかねて主張していた。今回のボルカー・ルール改定とスワップ取引の緩和を巡っては、FRBとFDICの民主党系幹部が反対票を投じた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]