名古屋市10万円給付、遅れ深刻 システム整備に時間

2020/6/26 3:00
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特別定額給付金の申請書類に不備がないか確認作業が進む(17日、名古屋市内)

特別定額給付金の申請書類に不備がないか確認作業が進む(17日、名古屋市内)

政府による一律10万円の「特別定額給付金」の支給が大都市を中心に遅れている。全国平均ではようやく給付率が6割程度となったものの、システム整備に時間をかけた名古屋市は4.7%にとどまる。膨大な申請書類の処理にあたる職員には疲れがにじみ、市民からは「遅すぎる」と批判の声が上がる。

名古屋市内のビルの一室に、山積みの申請書を入れた段ボール箱が並ぶ。市が給付金の事務を進める作業場所の一つだ。40人ほどの委託先のスタッフや職員がパソコンに向き合い、身分証明書のコピーの添付漏れがないか確かめる。大量の封筒を開け続けるため、「手首が痛くなる人もいる」と担当者は話す。職員は深夜まで働き、土日返上で作業にあたる。

一律10万円の給付金は新型コロナウイルスを受けた政府の経済対策で、早い自治体では4月中に給付が始まった。世帯主が申請書を郵送する方法と、マイナンバーカードを使ってオンラインで申請する方法があり、全国の給付率は直近で6割程度となった。

ただ、人口が多い大都市部を中心に給付作業の遅れが目立つ。名古屋市が19日までに給付できたのは、対象となる約113万5122世帯のうち、5万3690世帯(4.7%)にとどまる。

飲食店アルバイトのシフトが一時減ったという瑞穂区の男子大学生(19)は「10万円で助かると思ったが、給付よりも早くシフトが元に戻った」とあきれ顔。千種区の女性会社員(45)は18日にようやく申請書が届き、「子育て世帯は困っている人が多いのに、給付が遅すぎる」と批判する。

給付の遅れを招いた大きな要因の一つが、申請書の郵送や入金処理に必要な独自のシステム整備に時間を要したことだ。名古屋市は世帯数が多く、手作業だと本人確認などに時間がかかる。効率化を図ろうとシステム開発を5月初めに業者に委託したが、完成したのは同月下旬。申請書の郵送を始めたのは5月25日で、全世帯への発送を終えたのは6月15日だった。

比較的早く処理が始まったオンライン申請もスムーズに進まなかった。申請があった約3万件のうち、半数近くに口座番号の添付が漏れるなど不備が見つかった。その都度本人に電話で確かめたり、返送したりする必要があったためだ。

三重県いなべ市の担当者は「オンライン申請を続けていたら給付が何カ月先になっていたか分からない」と強調する。同市はもともと同申請の期限を5月末に区切っていた。オンラインを選ぶ人は早い時期に集中すると考え、少しでも確認作業の負担を軽くするためだったという

多くの自治体が給付に苦労するなか、愛知県大府市は市が独自に作ったシステムで乗り切った。申請書に住民基本台帳とひも付けたコードを記載。専用機器で読み取ると申請者の氏名など個人情報がひと目で表示され、本人確認が容易で作業時間を短縮できた。給付率は23日時点で95%に達している。

岐阜県で人口が最も多い岐阜市は、最大140以上の職員を投入する人海戦術で、21日時点で9割近くに給付できた。

名古屋市の河村たかし市長は22日、「人口が多いのは言い訳にならず、申し訳ない」と作業の遅れを謝罪した。6月中に申請書の返送があった世帯の給付が終わるのは7月中になる見込みだ。市は担当職員を当初に比べて大幅に増やして対応する。

(宮田圭)

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