パナソニック総会 津賀社長「失敗恐れては成長できず」
100年に1度の変革機会、古い体質脱却めざし挑戦

2020/6/25 20:30
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25年ぶりに1000人を割る人数で開催された(25日、大阪市)

25年ぶりに1000人を割る人数で開催された(25日、大阪市)

パナソニックは25日、大阪市内で株主総会を開いた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が広がる中、津賀一宏社長は「100年に1度の難局ではなく、100年に1度の自らを変える機会とする」と強調した。総会では株主から低迷する収益力などに注文がついた中、「古い体質」(津賀社長)を脱却して成長軌道に戻す道筋が求められる。

会場入り口にソーシャルディスタンス(社会的距離)を求める看板、フェースシールドとマスク姿の係員、会場内の椅子に×印――。異例の態勢で開かれた113回目となるパナソニックの株主総会。1995年以来25年ぶりに1000人を割る312人の株主が集まり、取締役の選任など2議案が可決された。

総会では新型コロナウイルスの影響や今後の戦略などについて時間を割いて説明した。ロボットやセンサーなどを生かした物流現場の改善や通信インフラを支える電子部品、セキュリティー技術などコロナ禍での注目技術を紹介。「社会課題に新たな提案をする役割を通じてパナソニックという会社、ブランドをいっそう輝かせる」(津賀社長)と話した。

市場環境が変わる中でも求められる課題は「中期戦略をスピードをあげてやりきること」(同)と指摘。家電を軸に人の暮らしに寄り添いひとりひとりに最適な価値を提供する「くらしアップデート」の実現や、構造改革の完遂による法人向け事業への経営資源の集中を急ぐ方向を改めて示した。

株価や業績の低迷を受け、株主からは厳しい質問や意見が出た。

■「東のソニー、西のパナソニックと言われていたのに……」

「東のソニー、西のパナソニックと言われていたのに……」。時価総額は2兆円超にとどまり、9兆円のソニーとの差は大きい。パナソニックの長期低迷に苦言を呈した株主から「規模の拡大でなく、質が大事だと思う」と指摘されると、津賀社長は「個人的に共鳴するところがある。お客様あっての事業で、規模あっての事業ではない」と返した。

ほかの株主からはスペイン子会社でのれん減損が発生するなど損失計上への批判もあった。津賀社長は100年の歴史を持つパナソニックを「様々な良い点も持つが、古い体質の企業」と説明。新しいパナソニックの確立に向けて様々な挑戦をする中で投資の失敗が起きるとし、「失敗を恐れていては成長できない」と理解を求めた。

足元でも次なる成長に向けた挑戦は続く。5月に米ソフトウエア会社のブルーヨンダーに約860億円の出資を決定。昨年10月に入社した元米グーグル幹部の松岡陽子氏は7月に常務執行役員に昇格するとともに、「くらし事業戦略本部長」に就任して新事業創出を加速する。これらの取り組みが果実につながれば、長期戦略の説得力も増してくる。

■「表面的な説明」「新しいことが出てきていない」

総会後、参加した株主からはパナソニックの現状に対して不満の声が聞かれた。50代女性は「目指す姿の説明を期待したが、表面的な説明だった」と話した。「今は目指している姿が見えない」(50代男性)、「新しいことが出てきていない」(90代男性)などの指摘もあった。

100年に1度の自己変革の機会を生かすには株主をはじめとするステークホルダーに納得感を持たせる「伝える力」と「実行力」が求められる。(岩戸寿、渡辺夏奈)

■岩井コスモ証券 西川裕康アナリスト
 株価は新型コロナウイルスの影響による業績悪化を織り込んでいる。赤字事業の切り出しや固定費の削減など、まず構造改革を着実に進めることが株価上昇につながる。ハードとソフトを組み合わせて新しい価値を提供する「くらしアップデート」の考え方自体は良い。温水機能を搭載し、においの原因になる菌を洗い流す洗濯機のように、パナソニックは消費者の需要に沿った商品を開発する力がある。構造改革が進めば利益が出る会社になるはずだ。

■みずほ証券 中根康夫シニアアナリスト
 パナソニックは赤字事業の切り離しなどの構造改革が進み、少しずつ収益が改善して良い方向に向かいそうだ。とはいえ課題はまだ多い。「再挑戦分野」として掲げる(カーナビゲーションなど)車載機器は、赤字脱却後に収益を拡大する道筋が明確でない。人件費など固定費の構造も改善の余地がある。国内事業に関しては定年退職など自然減で人員を削減する戦略だが、より大胆な施策を打ち出してもよいのではないか。
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