山形・蔵王坊平にアスリート温浴施設 一般利用開拓カギ

2020/6/25 18:16
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山形県上山市に7月3日、「坊平リカバリー温泉 高源ゆ」が開業する。ナショナルトレーニングセンター(NTC)隣接地にある全国的にも珍しい温浴施設。温度帯の違う3種類のプールや浴槽があり、アスリートがトレーニング後に利用することを想定する。米沢市の上下水道管理会社が新事業として始めたが、新型コロナウイルスの影響もあり新規需要の開拓が不可欠になっている。

水中運動用プール(奥)と、疲労を回復させる水温の違う浴槽(山形県上山市の高源ゆ)

標高1000メートルの高地で温泉を掘削した高源ゆ(山形県上山市)

県内メーカーの木製サッシやペレットストーブなど木にこだわった高源ゆ(山形県上山市)

標高1000メートルに位置する蔵王坊平アスリートヴィレッジは体育館や陸上トラックのほか、芝生やウッドチップのクロスカントリーコースがある。市が開設し、国の指定を受けたNTCで全国に2カ所しかない高地トレーニング強化拠点施設の一つだ。高源ゆはその一角にできる。

「今はどん底。上を見るだけでいい」と苦笑するのは同施設を作った置環(米沢市)の桐生正貴社長だ。東京五輪・パラリンピックの直前合宿にも利用してもらおうと2019年6月に着工したがコロナ禍が直撃し、最も需要が見込める夏合宿利用が危ぶまれている。

それでも、開業直後にバスケットボールや陸上の駅伝チームが利用予定で、約6億円の投資資金は「15年かけて回収する」と長期戦の構えだ。

観光地のお釜に通じる蔵王エコーラインから森に入った一角にある建物は木造2階建て、延べ床面積870メートルと小ぶりだが、ほかにない設備がある。交代浴や水中運動用プール、酸素カプセルなどアスリートがトレーニングの疲れを取る設備だ。周辺にはコテージもあり「トレーニング、宿泊、ケア施設とすべてがそろう全国に類をみない拠点ができる」(桐生社長)という。

置環はもともとスキー選手を採用するなどスポーツに力を入れてきた。本業の下水処理場などのメンテナンス事業は人口減少で先細りのため新規参入した。スタッフ11人はこれまで採用してきたアスリート社員を振り向け、「新規採用を抑えるとともに、利用者の気持ちがわかる接客につなげる」(同)考えだ。

NTCは一般客も利用できるが、「ふかふかの芝生の上を走れる最高の環境なのに日ごろはガラガラ」(山形市の市民ランナー)。高源ゆもアスリートだけでは経営が成り立たず、年間利用目標5万~6万のうち6割は一般客を見込む。

隣接地のキャンプ場や蔵王観光の観光客に加え、9月からは市民ランナーらを対象にした講習会も開くなど、裾野を広げて利用につなげたい考えだ。

建物はデザイン性が高く断熱性に優れるが、浴槽などの規模は小さい。800円の入浴料も県内では高額だ。市は合宿誘致の補助制度で高源ゆを使えば補助額を上乗せするなど後押しする。横戸長兵衛市長は「ほかにない施設を民間が作ってれた。全国から来てもらうとともに、地元利用も促す」としている。

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