米IT、個人情報保護一段と 技術開発加速も

2020/6/25 18:00
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【シリコンバレー=奥平和行】世界各地で個人情報保護への関心が高まるなか、米IT(情報技術)大手が対応を急いでいる。アップルとグーグルが相次いで、利用者から集める情報を減らす方針を発表した。各国・地域の規制強化とともに情報を活用してきた企業への逆風となりかねないが、新たな技術革新を加速する可能性もある。

アップルはアプリ提供企業に対して収集する個人情報の申告を義務付ける(22日、カリフォルニア州)=AP

「当社はプライバシーを基本的人権と考えており、設計段階から製品に組み込むことを重視してきた」。アップル幹部は22日、オンラインで開幕した年次開発者会議「WWDC」の基調講演で強調した。

同日、位置情報を活用したスマートフォンのアプリを使う際に、利用者が現在地に関する大まかな情報を提供できる機能を追加すると発表した。自宅など特定の場所を知られたくない利用者を想定している。アプリ提供企業に収集する個人情報の申告を義務付けて開示し、利用者が購入前に確認できるようにすることなども説明した。

背景にあるのは個人情報保護への意識の高まりやルール整備だ。以前から関心が高かった欧州では2018年に一般データ保護規則(GDPR)を施行した。米国でも米ピュー・リサーチ・センターの4月の発表によると、消費者の52%が個人情報保護に不安がある製品の利用をやめた。カリフォルニア州に続き、連邦政府としても関連法案の準備を進めている。

アップルは収益の大半をスマホなどの製品販売に依存し、いち早く情報を集めない方向へかじを切りやすかった。フェイスブックやグーグルなどはサービスの利用履歴を分析して広告などに活用してきたため事情は異なるが、それでも個人情報保護を前面に押し出す必要が高まっている。

グーグルは24日、今後はインターネット検索やウェブ閲覧の履歴保存を18カ月までとすることを原則とし、期間を過ぎると自動消去すると発表した。位置情報も18カ月までに限定し、動画共有サイト「ユーチューブ」の閲覧履歴は36カ月とする。10年分の情報に基づいて動画を推薦するといったことは不可能になる。

活用できる情報が減ると、一人ひとりに合わせたサービスの提供が難しくなり、広告の配信先を絞り込む際の精度が下がるとの懸念もあった。ただ、グーグルがウェブ閲覧の履歴を保存する「クッキー」の利用を制限する一方、プライバシー保護と情報活用を両立する代替技術の開発を進めるといった動きが目立ってきた。

企業が多くのデータを集めなくても高度なサービスを提供できるようにする動きも増えている。アップルが22日に発表した通訳アプリは情報をスマホに搭載した半導体だけで処理し、会話の内容を外部に提供したくないといったニーズに応える。こうした人工知能(AI)を活用したサービスが増えると、高度な半導体の開発や需要喚起につながるとの見方がある。

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