米ネット大手、トランプ政権のビザ発給制限に一斉反発

2020/6/25 18:00
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アップルのクックCEOは大統領令に「失望した」とツイッターに投稿した=AP

アップルのクックCEOは大統領令に「失望した」とツイッターに投稿した=AP

【シリコンバレー=白石武志】米ネット企業のトップがトランプ米大統領による就労ビザ(査証)の発給制限措置に一斉反発している。新規発給停止の対象となった「H1Bビザ」は多くのIT(情報技術)技術者が使う。各社は経済回復に逆効果だとして見直しを求めている。

「この宣言に深く失望した」。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は23日、トランプ氏が署名した就労ビザの発給を年末まで制限する大統領令についてツイッター上に投稿した。トランプ氏との親密さを強みに「iPhone」に対する対中制裁関税の発動などを回避してきたクック氏が、米政権を批判するのは珍しい。

今回、新規発給停止の主な標的となったH1Bは高度な専門知識を持つ外国人技術者らの確保に使われてきた。米移民局によると2019年9月までの1年間でH1Bビザを使った雇用主ランキングの上位にはアマゾン・ドット・コムやグーグル、マイクロソフト、フェイスブックなどが並ぶ。首位のアマゾンについては1年間で3000人分を超えるH1Bビザの新規発給を受けている。

各社のネットサービスの開発体制は国境をまたぐケースが多く、大統領令は米国外への雇用の流出を招く懸念もある。

マイクロソフトのブラッド・スミス社長は「今は我々の国を世界の才能から切り離し、不確実性と不安を生み出すときではない」との声明を出した。外国人の流入が労働市場の回復のリスクになるというトランプ氏の主張に真っ向から反論するものだ。

クラウドを使った書類共有サービスを手掛ける米ボックスのアーロン・レヴィCEOは「移民を制限しても、求人は別のどこかで生まれるだけだ」と指摘する。

米国経済にとって、移民は雇用を生み出す存在でもある。米著名投資家のメアリー・ミーカー氏によると、米国のネット大手の半数以上が移民や移民の子どもによって設立されている。アップルやアマゾンが典型例だ。

米ネット企業がトランプ氏と移民政策をめぐって対立するのは初めてではない。米政権が幼少時に親と米国に不法入国した若者に滞在許可を与える「DACA」と呼ぶ制度を廃止すると17年に表明した際には、クック氏ら300人超の企業経営者らが連名で制度維持の要望書を出した。日ごろはまとまりを欠くネット業界だが、移民政策に関しては再び結束を見せる可能性がある。

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