図書館も新常態 電子書籍貸し出しなどで脱「来館」

2020/6/25 11:41
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新型コロナウイルスの感染拡大で休館が相次いだのを機に、各地の図書館や資料館がサービスを充実させている。デジタル文献をオンライン上で公開したり、ドライブスルー方式で貸し出しをしたり。コロナ後の「新常態」を見据え、利用者の来館や滞在を前提とした機能の見直しが進む。

古典籍のデジタル化のため撮影する国文学研究資料館の職員

「今だからこそ、私たちのウェブサイトへ。様々な資料で学べます」。国文学研究資料館(東京都立川市)は閲覧室が閉館中だった4月、ロバート・キャンベル館長の動画メッセージとともに、「日本古典と感染症」と題して多くの所蔵資料を紹介した。デジタル文献への月間アクセス数は約40万件と前年同月の約24万件を大幅に上回った。

同館は古い文献を写真撮影し画像データとしてインターネット上に載せて研究につなげる事業を2014年に始めた。3月末までに15万点近くを作成したが、23年度末までに30万点のデジタル化を目指している。

山本和明・古典籍共同研究事業センター長は「日本は人文学系を中心に文献のデジタル化が遅れている。ネット閲覧できれば地方や海外からも利用しやすい。これを機にデジタル化がもっと広がれば」と期待する。

東京都狛江市立図書館はコロナによる図書館の利用制限を機に補正予算で電子図書館サービスを導入した。約7千タイトルの資料から1人2点まで借りられる。借りた電子書籍は個人のパソコンやタブレット端末などで閲覧する。

同館は一時休館を経て再開した後も閲覧席は撤去して長時間の滞在を控えるよう呼びかけている。利用制限が続く中、6月10日にサービスを始めると開始後2週間で約3800件の利用があり、評判は上々という。担当者は「紙の本になじみのない人でも読書を始めるきっかけになる。収束後もコンテンツを拡充させたい」と意気込む。

電子図書館サービスを手掛ける図書館流通センター(東京・文京)がまとめた電子書籍貸出件数は、コロナ禍による図書館休館を機に急増。5月は8万5392件と、前年同月の5倍に伸びた。

茨城県常総市立図書館は5月中旬から毎週末、市内の小中学生向けにドライブスルー方式での貸し出しを始めた。利用者は予約した本を図書館前などで車に乗ったまま借りられる。サービスは6月中で終えるが、感染予防のため閲覧席は半減するなど利用制限は続く。関根裕之館長は「市民の期待に応えられるよう工夫を重ねたい」と話す。

図書館検索サイトを運営する「カーリル」の吉本龍司代表は「全国的な休館が続き、来館主体の図書館サービスの問題点が浮き彫りになった。感染第2波でまた休館になる恐れもあり、早急に対応すべきだ」と指摘。「新サービスの継続やデジタルアーカイブの充実など、コロナ禍で得た教訓を生かし、図書館の機能が充実するきっかけになれば」と話している。

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