駐独米軍、ポーランドに一部再配置も トランプ氏

2020/6/25 9:16
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【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は24日、ドイツ駐留米軍の削減を巡りポーランドが再配置先の候補だと明かした。軍事支出を増やす北大西洋条約機構(NATO)の共通目標をポーランドが満たしていることを理由にあげた。ポーランドのドゥダ大統領との共同記者会見で語った。

ポーランドのドゥダ大統領(左)はロシアに対抗するため米国との軍事協力の強化を目指す(24日、ワシントン)=ロイター

トランプ氏は会見で駐独米軍を大幅に減らすと改めて説明したうえで「おそらく一部はポーランドにいくだろう」と語った。ポーランドは軍事支出を国内総生産(GDP)の2%以上に増やすNATOの目標に達していると持ち上げた。一方、ドイツの「著しい義務の不履行」を非難した。

トランプ氏は2019年に米軍をポーランドに1000人増派することで合意した。ドイツから再配置する米兵が、この合意した増員分にあたるのか、合意を超えてポーランド駐留の部隊の規模を拡大するのかは不明。共同声明でも「戦略的パートナーシップを踏まえて防衛協力を深める」と明記するにとどまった。

米軍がポーランドに増派すれば「ロシアへの抑止力が強化される」(NATO関係者)との見方が多い。14年にロシアがウクライナ領クリミア半島の併合を宣言してから、NATO加盟国は戦闘の最前線になりうるポーランドやバルト3国に交代で軍の部隊を送ってきた。米海軍は今年春にロシア北部沖バレンツ海に艦船を30年以上ぶりに派遣し、ロシアに対するけん制を強めた。

ただ駐独米軍の縮小は米国のNATO共同防衛に対する本気度に強い疑念を抱かせるものだ。NATOは加盟国に対する攻撃に全加盟国で対処することを原則とする。軍事負担の大小で米軍の配置にメリハリをつけるトランプ氏の発想からは負担が十分でない国は共同防衛の対象から外れるとの疑いが生じる。

ホワイトハウス元高官は抑止力とは「戦力」と「指導者の意思」だと指摘する。米軍が欧州に戦力をいくら増強しても、それを操るリーダーの意思が定まらなければ抑止力は成り立たないとの見方だ。23日に政権内の混乱を記した回顧録を出版したボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)によると、トランプ氏はNATO離脱を真剣に検討したとされる。

トランプ政権は中国に対抗するため駐独米軍をインド太平洋地域に振り向ける可能性があると説明するが、ロシアの脅威が低減したわけではない。米政権はロシアがシリアの基地を拠点に地中海での影響力を増し、リビアにも戦闘機を派遣して混乱を助長しているとみる。米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が19年8月に失効し、ロシアの中距離ミサイルに対するNATOとしての防衛システムの構築なども不可欠だ。

米国防総省は24日、エスパー国防長官が英国とNATO本部があるベルギーに向けて出発したと発表した。駐独米軍の縮小によって生じた米欧関係の亀裂を少しでも修復する狙いとみられる。

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