/

感染第2波なら21年ゼロ成長 IMF世界経済予測

国際通貨基金(IMF)は24日、世界経済見通し(WEO)を再び大幅に下方修正した。新型コロナウイルスによる感染第2波が発生すれば、2021年はゼロ成長にとどまると警告する。公的債務も第2次世界大戦時の水準を超えそうで、政策余地は狭まりつつある。

日本の20年の成長率はマイナス5.8%と予測。リーマン・ショック後の09年(同5.4%)を超す景気悪化だ。新興・途上国は3.0%減と統計がある80年以降で初めてマイナス成長となる。

IMFのギータ・ゴピナート首席エコノミストは「世界の75%超の国・地域が経済活動を再開したが、回復力は極めて不透明だ」と指摘する。世界景気は20年後半から緩やかに持ち直すと予測するが、感染封じ込めの決め手となるワクチンや治療薬の開発は途上だ。

そのため、IMFはリスクシナリオも検証した。基本シナリオで5.4%成長を見込む21年の世界の国内総生産(GDP)は、同年初めに感染第2波が発生すれば4.9%下振れするという。その場合、同年の成長率はほぼゼロとなり、景気は一転して底ばいだ。22年時点でも基本シナリオを3%下回り、大恐慌時のような長期停滞を余儀なくされかねない。

実際、米国では経済再開で先行した南部テキサス州で、1日当たりの新規感染者数が過去最高の5000人超となるなど感染の封じ込めに苦戦する。レストラン予約サイト「オープンテーブル」のデータでは、全米の飲食店の客足は前年比で一時59%まで回復した。それが感染リスクの高まりで、直近の22日は同34%まで急落。景気の足取りは極めて重い。

新興・途上国は感染拡大そのものが止まらない。インドは感染者数が40万人を超え、民間調査によると5月の都市部の失業率は26%に急上昇。IMFは同国の20年の成長率を4月時点の予測から6.4ポイントも引き下げた。世界的な需要低迷で原油価格が前年比41%下がると分析しており、サウジアラビアやナイジェリアなど資源国も大幅なマイナス成長と予測する。

もっとも、金融市場は明るさを取り戻している。ハイテク株が多い米ナスダック総合株価指数は23日、8日続伸して過去最高値を更新。日経平均株価も3月の底値(1万6552円)から持ち直し、年初来高値(2万4083円)に近づきつつある。

背景には、主要国の財政出動や金融緩和がある。日本は12日に32兆円弱の20年度第2次補正予算を成立させた。IMFによると、世界各国の新型コロナ対策は6月時点で合計11兆ドル弱となり、4月時点の8兆ドルからさらに拡大した。08年のリーマン・ショック時(5兆ドル)の2倍強の財政出動で、企業家や投資家の心理を改善させてきた。

ただ、新型コロナの封じ込めが遅れれば、その政策効果も弱まりかねない。日本の雇用調整助成金の特例は、9月末までの時限措置だ。米国でも週600ドルという大規模な失業給付の特例加算が、7月末に期限切れとなる。主要国には公的支援が急に途切れる「財政の崖」の懸念がある。

財政出動の余地も狭まってきた。IMFの予測では、世界の公的債務残高は20年にGDP比100%を突破して過去最大になりそうだ。日本は同268%と前年から30ポイントも上昇する。G20(20カ国・地域)のうち、日米欧など先進国の公的債務は同141%となり、第2次世界大戦時(116%、1945年)を大幅に上回りそうだ。新型コロナと景気悪化という2つの危機を早期に封じ込めなければ、財政不安という次なる危機が加わりかねない。(河浪武史)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

新型コロナ

新型コロナウイルスの関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。

ワクチン・治療薬 休業・補償 ビジネス 国内 海外 感染状況

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン