ロシア各地で戦勝パレード、改憲投票へ国威発揚

ヨーロッパ
2020/6/24 19:43
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【モスクワ=小川知世】ロシア各地で24日、前身の旧ソ連の対ドイツ戦勝75年を祝う軍事パレードが開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大は続くが、プーチン大統領の5選に道を開く憲法改正法案の全国投票を7月1日に控え、同氏の支持基盤である保守層の愛国心に訴える狙いだ。

24日、モスクワの「赤の広場」での軍事パレード=ロイター

パレードは首都モスクワを含む20都市以上であったもようだ。第2次世界大戦での対独戦勝記念日である5月9日に予定されていたが、新型コロナで延期されていた。

モスクワの「赤の広場」では約1万4千人の兵士が行進し、多数の最新鋭の戦車、極超音速ミサイルを搭載した戦闘機などが披露された。中国、インドなどの外国部隊も参加し、ロシアの国際的な孤立脱却を演出した。

プーチン氏は赤の広場での演説で「(旧ソ連が)侵略者から欧州諸国を解放し、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)の悲劇を終わらせた」と主張。そのうえで「国民同士の友好や信頼を強め、最も差し迫った国際問題についての開かれた対話や連携が重要だ」とも述べた。

同氏が提案する国連安全保障理事会の常任理事国の米英仏中ロ5カ国による首脳会議を念頭に置いた発言だとみられる。

外国首脳の出席はカザフスタンのトカエフ大統領など旧ソ連諸国からが中心で、招待されていたフランスのマクロン大統領や安倍晋三首相は参加しなかった。感染拡大を警戒する自治体は多く、パレードを開く都市は例年より大幅に減った。

プーチン氏が早期開催に踏み切った背景にはパレードで国威を発揚し、直後の改憲法案の投票で賛成多数につなげる意図がある。同法案は2024年に予定される次期大統領選への同氏の出馬を可能にする。プーチン氏も5選出馬の可能性を排除しないと明言した。領土割譲の禁止など保守的な条文も盛り込んだ。

プーチン氏は全国投票を前に国民の愛国心へ訴える。18日には第2次世界大戦に関する論文を発表し、ナチス・ドイツの打倒に「ソ連が決定的な貢献をした」という歴史認識を披露した。22日にはモスクワ郊外に新設された「ロシア軍大聖堂」を訪れ、祖国防衛の功績をたたえてみせた。

ことさらにソ連の偉業を強調する裏には、新型コロナによる経済の悪化から国民の注意をそらす思惑もありそうだ。プーチン氏は23日のテレビ演説で、富裕層に増税し、子供の医療支援に充てるなどの経済対策を表明した。生活水準の低下に不満を持つ国民の支持獲得を狙ったとみられる。

改憲法案は25日に期日前投票が始まる。投票者の過半数が賛成すれば発効する。高い投票率と賛成率が得られなければ、さらなる長期体制に向けた政権基盤が揺らぎかねない。投票日に向けて政権が強引な集票策を展開する可能性もある。

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