美容業界もオンライン診療 皮膚科医や婦人科医がケア

CBインサイツ
スタートアップGlobe
コラム(テクノロジー)
2020/6/26 2:00
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 新型コロナウイルスの感染問題を受け、医師が遠隔で患者を診察するオンライン診療の需要が世界的に高まっている。米国では美容・パーソナルケア業界でも取り入れる動きが活発になっている。スキンケア商品などの提供に加えて、皮膚科医や産婦人科医、精神科医などが遠隔で相談、診療することで、利用者の健康を総合的に高める。投資家らが注目するこの分野のスタートアップ企業をCBインサイツがまとめた。

個人ごとに商品を最適化する「パーソナライゼーション」が美容・パーソナルケアを変えつつある。様々な製品ラインでオンライン技術を活用し、個々の消費者に合わせた製品やサービスが提供できるようになってきている。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に伴い、あまり差し迫っていない心身の不調の場合、オンラインの代替手段を使う消費者も増えている。これは、個人の健康習慣が新たな段階に進む動きともいえる。米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、半数近くの消費者がパンデミックの収束後もオンライン診療を使い続ける意向を示している。

CBインサイツのニュース分析ツールによると、2020年に入って以降、美容・パーソナルケア分野でのオンライン健康サービス(telehealth)への関心は急激に高まっている。

ニュースに取り上げられた回数
同じニュースに「オンライン健康サービス(telehealth)」と「美容(beauty)」または「パーソナルケア」の言葉が登場した回数

ニュースに取り上げられた回数
同じニュースに「オンライン健康サービス(telehealth)」と「美容(beauty)」または「パーソナルケア」の言葉が登場した回数

今回のリポートでは、パーソナルケアサービスの変革に向けてオンライン診療を活用している「D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー、自社製品をネット経由で消費者に直接販売する)」スタートアップを取り上げる。

各社は累積資金調達額、市場の強さ、投資家の質、そしてニュースで言及された回数や業況などの非財務的な要素に基づいて選んだ。

1.米ヒムズ(Hims)/ハーズ(Hers)

出所:アトミック(ヒムズとハーズを生んだスタートアップスタジオ)

出所:アトミック(ヒムズとハーズを生んだスタートアップスタジオ)

▽本社:米カリフォルニア州サンフランシスコ
▽ステージ:シリーズC
▽累積資金調達額(公表ベース、以下同):1億9700万ドル
主な投資家:米フォアランナー・ベンチャーズ、米スライブ・キャピタル、米レッドポイント・ベンチャーズ

 オンライン健康サービスを手掛けるD2Cスタートアップのヒムズは、人目を気にせずにED(勃起障害)や脱毛の処方薬を入手できるとうたい、成功を収めた。19年にユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)の地位に達し、処方箋の要らないスキンケアやサプリメント、ヘアケアに事業を拡大している。主要販路はD2Cだが、非処方製品の多くは米ターゲットなどの小売りで販売している。
 ヒムズの女性版ハーズも医療とパーソナルケアを手掛ける。同社は女性向けの性的欲求低下障害治療薬「アディ」や避妊用ピル(いずれも処方薬)のほか、ニキビ治療薬やまつ毛育毛剤など肌や美容に関する処方薬を提供する。シャンプーやコンディショナー、肌の健康を保つ成分「ビオチン」サプリなど、処方薬の要らない製品も販売している。
 ヒムズは最近、男女双方を対象にしたオンラインのプライマリーケア(1次医療)とメンタルヘルスサービスに参入した。精神科医による診療にも乗り出す計画だ。


2.米ミューズリー(Musely)

▽本社:米カリフォルニア州サンノゼ
▽ステージ:シリーズB
▽累積調達額:2200万ドル
▽主な投資家:米DCMベンチャーズ

 ミューズリーは当初、消費者がスキンケアやメーキャップなどの情報をシェアできるライフスタイルアプリを手掛けていた。
 その後、19年10月に皮膚科のオンライン診療サービス「フェースRx」を開始した。オンライン診療の受診者は、ちりめんジワや黒皮症など様々な肌のトラブルに効く処方箋の必要なスキンケア製品を受け取る。
 ミューズリーはアプリで皮膚科医に質問したり、他の利用者と会話したり、有益な情報を得たり、経過観察のアドバイスを受けたりできる「eナース」機能も提供している。


3.米キュロロジー(Curology)

▽本社:米カリフォルニア州サンディエゴ
▽ステージ:シリーズB
▽累積調達額:1900万ドル
▽主な投資家:米アドバンス・ベンチャー・パートナーズ、米フォアランナー・ベンチャーズ、米シェルパ・キャピタル

 キュロロジーは個々に応じたスキンケア治療を患者が容易に利用できるように、患者と皮膚科専門医をつないでいる。利用者はキュロロジーのアプリかサイトで簡単な質問に答え、自分の肌の写真を数枚撮り、それをキュロロジーの医療チームに送る。
 皮膚科医は患者の情報をチェックし、個人に応じたスキンケア成分を処方する。料金はサブスクリプション(定額料金)方式で請求する。利用者は初回の診療後、アプリで担当皮膚科医にメッセージを送ることができる。


4.米ジェネブ(Gennev)

▽本社:米ワシントン州シアトル
▽ステージ:シリーズA
▽累積調達額:500万ドル
▽主な投資家:米ブルーラン・ベンチャーズ、米スタートアップ・ヘルス、米メイブン・ベンチャーズ

 ジェネブの製品は産婦人科医や自然療法医が更年期の女性向けに開発しており、消費者に直接販売する。潤滑剤やpHバランス(アルカリ性と酸性のバランス)のとれたメイク落としシート、更年期症状を緩和するほてり用サプリなどがある。
 オンライン診療で医師に相談できるサービスも提供している。さらに、「ヘルスフィックス」の会員になると、栄養やストレス管理といった分野について医師や栄養士などの専門家からアドバイスや指導を受けられる。
 ジェネブは新型コロナウイルス対策として、オンライン診療にプライマリーケアを加えたほか、産婦人科のオンライン診療を全ての女性に開放している。
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