地上イージスの代替案検討 政府、敵基地攻撃も議論へ

北朝鮮
2020/6/24 20:20 (2020/6/25 5:21更新)
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政府は24日、国家安全保障会議(NSC)を開き、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止を確認した。代替となるミサイル防衛の検討に入る。攻撃を受ける前に相手の拠点をたたく敵基地攻撃能力の保有の是非に関しても、政府で議論する見通しだ。

国家安全保障会議4大臣会合後、首相官邸を出る安倍首相(24日)=共同

国家安全保障会議4大臣会合後、首相官邸を出る安倍首相(24日)=共同

安倍晋三首相も出席して首相官邸でNSC4大臣会合を開いた。河野太郎防衛相が陸上自衛隊の新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(山口県萩市、阿武町)への配備計画を停止すると報告した。

政府は人家近くへのブースター落下を防ぐ改修に巨額の費用と時間がかかると説明する。政府高官は計画に関し「事実上の撤回だ」と指摘する。政府は代替策の検討を進め、米国などと契約済みの1700億円超の費用の扱いも協議する。

代替策にはイージス艦の拡充や、海上に人工浮島(メガフロート)を建設してイージス・システムを運用する案がある。いずれも巨額の追加費用がかかるのが問題だ。

各国はミサイルの高性能化を図っている。事前に発射の兆候をつかみにくい固体燃料を採用したり、通常より高速で飛行して経路を変化させたりするミサイルの開発が進む。飛行経路を予測しにくいため防衛関係者からは「ミサイルを迎撃する防衛方法は困難になる」との声が上がっていた。

浮上するのが敵基地攻撃能力の保有論だ。

ミサイルが発射された後に空中で撃ち落とすのは不確実性が高く、コストも膨大だ。発射される前の発射場所をたたく方が容易で費用も少なくて済む、という論理だ。

自民党は2013年や18年の防衛大綱の改定議論に合わせ保有を提言してきた。首相は18日に「党から提案が出ている。受け止めていかねばならない」と表明した。

日米の同盟関係は日本が守りの盾、米国が攻撃の矛、との役割分担だった。茂木敏充外相は23日「単純に『盾と矛』と性格づけられる安保環境ではない」と指摘した。

自民党は近く敵基地攻撃能力を含めた安全保障戦略を検討するチームをつくる。7月中に政府に提言する。並行して政府も検討に入る見通しだ。

米ハワイ州のイージス・アショア

米ハワイ州のイージス・アショア

利用可能な装備品の保有計画はある。防衛省は17年に射程が900キロメートルの長距離巡航ミサイルの導入を決めた。航空自衛隊の戦闘機から地上に発射する。政府は「敵基地攻撃が目的ではない」と説明する。

地上や海上から発射する巡航ミサイルを保有すべきだとの意見も自民党内にはくすぶる。

政府は憲法9条の下でも敵基地攻撃は可能との見解だ。1956年の鳩山一郎首相の「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」との答弁に基づく。国際的にも国連憲章51条で認める自衛権の範囲内との解釈が一般的だ。

政府は「もっぱら他国に打撃を与える戦力」は保持しないとの立場を取ってきた。大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、攻撃型空母が具体例だ。菅義偉官房長官は24日「専守防衛という考え方の下でしっかり議論していきたい」と語った。

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