北海道の信金6割が減益、資金需要増も利回り低下続く

2020/6/24 18:45
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北海道の20信用金庫の2020年3月期決算が24日、出そろった。長引く低金利に新型コロナウイルス感染拡大による株価下落や与信費用増も追い打ちをかけ、最終損益は全体の6割にあたる13信金が減益だった。企業の経営悪化で一時的に資金需要は高まったが、貸出金利回りが9割で低下するなど収益にはつながっていないのが現状だ。

札幌などの都市部で収益を出す信金も多い(2月、遠軽信用金庫の札幌市内の支店)

札幌などの都市部で収益を出す信金も多い(2月、遠軽信用金庫の札幌市内の支店)

貸出金残高の多い上位8信金は軒並み減益だった。18年1月に3信金の合併で発足した北海道信用金庫(札幌市)の純利益は18%減の8億円。貸出金は増加したものの、金利低下による利ざやの低下を補いきれなかった。苫小牧信金(苫小牧市)も貸出金利息の減少で12億円(12%減)と2ケタの最終減益だった。

前期は年度末にかけて新型コロナの猛威にさらされた。北見信金(北見市)は「3月の経済活動が停滞し資金需要が減退した」ために資金利益が減少。空知信金(岩見沢市)は3月の株価下落で国内株や投資信託などの売却損が前の期から5000万円ふくらんだ。

取引先の倒産や経営悪化によって積み増す与信費用も増えた。20年3月期の与信費用は20信金合計で約56億円に達し、19年3月期から約30億円の急増だった。遠軽信金(遠軽町)や日高信金(浦河町)で大口取引先の経営悪化により与信費用が膨らんだ。金融庁が19年末に監督指針「金融検査マニュアル」を廃止したのも後押しし、旭川信金(旭川市)などは貸倒引当金の計上基準を厳格化している。

一方、増益だった7信金のうち、稚内信金(稚内市)は国債や上場投資信託(ETF)の売却益9億円が効いた。伊達信金(伊達市)は与信費用の戻り益が発生。道南うみ街信金(江差町)は前の期にあった店舗の減損損失が減り最終増益となった。

新型コロナによる経営悪化もあり、中小企業の資金需要は高い。3月末で貸出金が伸びたのは15信金に上った。札幌など都市部で取引先の開拓が進む。融資残高が13%増えた日高信金は、日高地区での貸し出しや札幌地区でのアパートローン融資の伸びが全体を押し上げた。

預金に占める融資の比率(預貸率)は渡島信金(森町)、日高信金、北空知信金(深川市)など5信金で50%を超えた。65%と道内信金で最高だった渡島信金は「長期の資金繰り支援と経営改善支援を積極的にしてきた」と説明する。

ただ、融資の増加を利益に結びつけられてはいない。貸出金利回りは全体の9割にあたる信金で低下しており、苫小牧信金は前年から0.07ポイント、北海道信金は0.06ポイント下がった。苫小牧信金は「他金融機関との競合が金利低下を招いている面もあり、小口の融資先を増やしていく必要がある」と危機感を隠さない。

多くの信金は新型コロナの終息時期を見通せていない。空知信金は「大口の倒産はまだ見られないが、緊急事態宣言に伴う企業の業績を鑑み与信費用の上乗せを見込む」としている。外出自粛の影響を受ける観光や飲食業で客数減が続くのを理由に、地域の景況感は悪化するとの見方が強い。多くの信金では「元通りの水準まで回復するには相当の期間を要する」(北見信金)と覚悟を決めているようだ。

21年3月期の資金需要は「新型コロナの長期化から当面は需要が高まる」(北海道信金)との見方が大半だった。地域金融のメインプレーヤーとして、信金には体力のない中小企業に傘を差し出す役割が平時以上に強く求められる。

(塩崎健太郎)

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