歌舞伎や能でも配信の試み オンライン版「忠臣蔵」も
舞台公演とは別の役割を模索

文化往来
2020/6/25 2:00
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宝生和英の能「生田敦盛」の1場面。能LIFE Onlineで見ることができる(宝生会提供)

宝生和英の能「生田敦盛」の1場面。能LIFE Onlineで見ることができる(宝生会提供)

歌舞伎や能の世界で動画配信が増えている。これら長い伝統を持つ舞台芸術には「上演は一期一会」という考え方が根強く、ユーチューブなどで同じ舞台を繰り返し見てもらうことに消極的な演者も少なくない。しかし新型コロナウイルスによる公演中止を受けて、中堅以下の世代が、本格的に配信に取り組み始めた。

「仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助を演じる松本幸四郎(2012年、当時は市川染五郎)(C)松竹

「仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助を演じる松本幸四郎(2012年、当時は市川染五郎)(C)松竹

松竹は6月27日11時から、松本幸四郎主演の図夢歌舞伎「忠臣蔵」を有料で生配信する。「図夢」は「ZOOM」を漢字にした当て字。オンライン専用作品で、「仮名手本忠臣蔵」全十一段を週に1回ずつ5回に分けて上演、27日は第1回となる。幸四郎が大星由良之助など主要な役を演じ、別の空間で演じる俳優や、別に収録した幸四郎の映像と組み合わせる演出を考えているという。幸四郎は「歌舞伎の手法を用いた映像表現ができないものかと、20年来、夢見てきました」と話す。幸四郎は5月末から「歌舞伎夜話」と題したトークイベントを配信してきた。その発展形ともいえる。

一方、能楽の宝生会は「能LIFE Online」と題した総合的プラットフォームを開設した。能公演の映像もあるが、作家のいとうせいこうと共に作った「能楽紀行」や、朗読とのコラボレーションなど多様な角度から能の世界を紹介する番組が有料、無料さまざまに用意されている。企画した宝生流宗家の宝生和英は「いわゆるエンタメの世界に配信は既にたくさんある。(静かな)能は、むしろそれに疲れた人に合う」と説明する。

さらに「リアルの舞台の代わりに配信を用意したわけではない。例えば能の普及は配信を中心に行うなど、舞台公演とは別の役割が配信にはあると考えている」ともいう。オンラインならではの作品が必要と考える点は、幸四郎とも共通している。

(瀬崎久見子)

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