「職場クラスター」も発生 東京の感染経路拡散に警戒

東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が24日、55人と1カ月半ぶりの高水準となった。企業内でクラスター(感染者集団)が発生するなど、感染経路が再び拡散し始めている。感染者がどの程度増えたら厳しい規制に戻すかといった基準を明確にし、「第2波」を防ぐ必要がある。
新宿区内のホストクラブで感染が広がっているとして、区が従業員らの集団検査を進めており、55人のうち12人はこの集団検査で判明した。ホストクラブでは従業員が共同生活することも多く、リスクが高いという。
さらに最近表面化してきたのが企業での集団感染だ。24日は9人が同じ人材派遣会社の従業員だった。この職場では既に7人の感染が確認されている。小池百合子知事は「職場もクラスターになる。オフィスのあり方も改めて確認してほしい」と強調した。
政府は感染拡大を防ぎつつ企業活動を再開するため、テレワークやオンライン会議を引き続き促している。経団連はガイドラインで▽共有設備をこまめに消毒する▽仕切りのない対面の座席配置は避ける――といった対策を例示している。
ただ、対策が不徹底の職場は少なくないとみられる。首都圏の朝のピーク帯の駅利用が感染拡大前の6割にまで戻るなど出社する人も増えており、職場での感染リスクが高まる恐れがある。
休業要請などを再実施する上での明確な数値基準は、今のところ示されていない。都は現在、東京アラートの見直しを進めている。注意を呼び掛ける新たな方法や基準を再検討しており、まとまり次第公表する。明確な基準に基づいて早期警戒を強め、第2波を防ぐことが重要だ。
海外では既に規制再強化の動きもある。ドイツ西部のノルトライン・ウェストファーレン州政府は23日、食肉加工工場で従業員1500人以上の集団感染が確認された同州の一部の郡をロックダウン(都市封鎖)すると発表した。
スペイン北東部のアラゴン州でも22日、農場で働く労働者などに感染が広がり、再び制限が強化された。商店やレストランで一度に入れる客の数を規制するほか、ナイトクラブや子供の遊び場も閉鎖する。AFP通信によると、ポルトガルでも首都リスボンと近郊で再び行動制限を強化した。

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