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人類と異星文明の頭脳戦描く 中国SF「三体」第2部

「三体2 黒暗森林」では人類と異星文明の本格的な接触が描かれる

中国のSF作家、劉慈欣の「三体」3部作は世界で発行部数2900万部を超えるベストセラーとなった。第2部の日本語訳「三体2 黒暗森林」(上下巻、大森望・立原透耶・上原かおり・泊功訳、早川書房)が刊行された。第1部で人類は異星文明「三体世界」とのファーストコンタクトを果たした。第2部では驚異の技術力を持つ三体文明は地球への侵攻を進めており、人類は未曽有の危機を乗り切ろうと様々な防衛策を打ち出す。宇宙に舞台を広げ、人類と三体文明との激しい頭脳戦が繰り広げられる。

「中国、米国、日本のような国々だったら、異星文明と出会ったときの対応策は考えておくべきだと思う」。2019年10月の来日時のインタビューで劉はそう語っていたが、「三体」で描かれるのはSF作家の考える出会い方の一つといえる。三体文明が地球に送り込んだ「智子(ソフォン)」という改造された陽子によって人類は活動を監視されている。追い込まれた人類は独自の対策を独断で実行できる「面壁者(ウォールフェイサー)」を選び、三体文明に対抗しようとする。敵にも味方にも考えを悟られてはいけないコンゲーム(だまし合い)。面壁者の一人、羅輯(ルオ・ジー)の振る舞いは、どこか赤穂浪士を率いた大石内蔵助を思わせる。

「自分はSFファンからSF作家になった」と劉。「三体」3部作に「クラークやアシモフに代表される黄金時代の英米SFや、小松左京に代表される草創期の日本SFのエッセンスがたっぷり詰め込まれている」(大森による「訳者あとがき」)のもそのためだろう。「中国でシリーズ中もっとも評価が高い」(作家の陸秋槎による「解説」)第2部だが、劉は「(読者の)反響は第3部の方が大きかった」と言う。21年春刊行予定の完結編が早くも楽しみだ。

(中野稔)

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