群馬・大泉町に失業外国人の支援所 「コロナ切り」急増

2020/6/24 16:00
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失業した外国人労働者を一時保護する全国でも珍しい施設が群馬県大泉町にオープンし、7月から本格的に受け入れを開始する。新型コロナウイルスによる景気悪化で職を失う外国人が増えており、生活再建を手助けする。運営する日本海外協会(東京・港)の林隆春理事長は「外国人のセーフティーネット(安全網)を作りたい」と話す。

「外国人労働者がまず『派遣切り』にあって困窮している。リーマン・ショックのときと同じような状況だ」。20日に大泉町で開かれた支援施設の開所式。参加したNPO法人、移住者と連帯する全国ネットワーク(東京・台東)の鳥井一平代表理事は来賓あいさつでこう指摘した。

外国人は非正規雇用が多く、工場減産などのしわ寄せを受けやすい。支援施設は、新型コロナの感染拡大を機とした雇い止めなど「コロナ切り」で生活難に陥った外国人のシェルター(一時避難所)を目指している。

場所は東武鉄道の西小泉駅にほど近い、地元の観光協会などが入居する施設「ブラジリアンプラザ」の2階。約1200平方メートルの空間に6畳程度の個室を41室設けた。食堂やシャワー室、洗濯スペースも備える。県外のフードバンクから食料の提供を受けるなど既に支援の輪が広がっているという。

支援施設にはポルトガル語など外国語に堪能なスタッフを置き、電話や対面での相談に応じる。住まいを失うなど保護が必要な外国人労働者を約1カ月間受け入れ、その間に就職を支援するほか、行政の担当窓口に橋渡しなどをする。パソコンやファクスを置く部屋も設けており、起業を目指す人を後押しする環境も整えた。

支援施設を開設した一般社団法人の日本海外協会は、日本への移住者に対する各種相談や帰国支援などの事業を手掛けている。林理事長は人材派遣業などを手掛けるアバンセコーポレーション(愛知県一宮市)の創業者でもある。

林理事長が日系ブラジル人の多い愛知県の特定のエリアで調査したところ、5~6月に職を失う外国人が急速に増えていることが分かった。林理事長は「派遣切りが急速に進んでいる。7月からもっと激しくなるので6月中になんとか開設したかった」と話す。

大泉町でもブラジル人を中心に外国人が多く住み、製造業の現場を支えてきた。林理事長が地域の派遣会社に聞き取りしても状況は愛知と同じだと指摘する。リーマン危機後、大泉町の日系ブラジル人の一部は職を失って母国へ戻ったが、今は帰国を希望しても新型コロナによる渡航制限で戻れない。林理事長は「失業で生活が困窮した外国人には一度休んでもらいながら、もう一度日本社会で頑張れるように支援して送り出したい」と話している。

(前橋支局長 古田博士)

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