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「果樹カメムシ」大量発生 農家に打撃、14県で注意報

果樹カメムシで被害を受けた梨

梨やリンゴ、ぶどうに被害を与える「果樹カメムシ類」が全国で大量発生している。昨シーズンの暖冬が影響しているとみられ、農家に警戒を促す注意報を出した自治体は14県。兵庫県の調査では例年の5倍以上のカメムシが確認された。夏以降の果樹の収穫期を前に、国や自治体は薬剤散布などの対策徹底を生産者に呼びかけている。(上林由宇太、川野耀佑)

「やっとの思いで育てたのに……」。「二十世紀梨」の一大産地である兵庫県香美町の農家、南垣茂さん(68)は嘆く。

経営する約1500平方メートルの農園には約40本の梨の木が植わる。今年初めて被害を見つけたのは4月末。実一つひとつに袋をかける対策を取ったが、多くの実で表面がでこぼこするなどの被害が出た。収穫量は前年から3割ほど減少する見込み。「自然には逆らえないので仕方がない」と肩を落とす。

果樹カメムシ類は、梨やリンゴなどに被害を及ぼすカメムシの総称で「チャバネアオカメムシ」「クサギカメムシ」などがある。口にある針で果汁を吸い、実の表面が陥没したり、木から落ちたりする被害をもたらす。エサとなる杉やヒノキの果実(球果)が隔年で増減を繰り返すため、カメムシの発生量も2年おきに増減する特徴がある。

2020年は発生量が多い「表年」にあたるが、今年は特に大量のカメムシが各地で確認されている。

兵庫県病害虫防除所(同県加西市)が4~5月に実施した調査では、チャバネアオカメムシの捕獲数が通常の表年の5.3倍にのぼった。同所の担当者は「過去にない量」と驚く。県は5月28日、農家に対策を呼びかける注意報を県全域に発令した。表年としては12年以来の注意報だ。

農林水産省によると、愛知、滋賀、山口、熊本各県でも、それぞれ過去10年間で最多の果樹カメムシ類が観察された。注意報を出した自治体は6月9日時点で計14県。農水省の担当者によると、6月時点でこれほど多くの自治体が注意報を出すケースはまれという。

要因としては、昨シーズンの冬の気温が比較的高く、越冬した成虫が多かったことが考えられる。気象庁によると、神戸市の今年1月の平均気温は8.8度と、記録がある1897年以降で最も高かった。

越冬したカメムシが生んだ幼虫は、7月中旬以降に成虫になる。越冬した数が多かった分、今後発生する成虫の数も例年に比べて多くなる可能性がある。梨やリンゴは8月以降に収穫期を迎えるが「収穫前に果樹被害がさらに深刻化すると予想される」(兵庫県病害虫防除所の担当者)。

実に袋をかける対策は有効だが、実が大きくなるとカメムシは袋ごしに口針をさして果汁を吸うため防護策として十分ではないという。農水省植物防疫課の担当者は「園内をこまめに見回りし、カメムシの飛来が確認されれば速やかに薬剤を散布してほしい」と呼びかけている。

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