英自動車産業、FTAなしなら5兆円損失 自工会試算

英EU離脱
2020/6/24 3:15 (2020/6/24 5:28更新)
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日産自動車の英サンダーランド工場で生産されるSUV「キャシュカイ」(2019年10月、英北部)

日産自動車の英サンダーランド工場で生産されるSUV「キャシュカイ」(2019年10月、英北部)


【ロンドン=佐竹実】英自動車工業会は23日、英国と欧州連合(EU)の間に10%の関税が生じる場合、今後5年で400億ポンド(約5兆3千億円)の収入を失うと試算した。EUを離脱した英国は自由貿易協定(FTA)締結を目指してEUと交渉中だが、決裂して関税が復活すれば国内産業や経済に大打撃となる。

英EUの交渉は、20年末までに関税ゼロの貿易などEU加盟時と遜色ない状態を維持できるかどうかが焦点だ。もし決裂すれば21年から完成車に10%の関税がかかり、英国産車の価格競争力が落ちる。英国では日産自動車など日本勢が生産の半分を占めるが、現地で生産するメリットが薄れることになる。

自工会の試算では、英EUがFTAを結べなかった場合、25年までに年間生産台数が85万台を下回り、1953年以来の低水準に落ち込む。その結果、全体で400億ポンドの収入を失うとしている。19年の生産台数は約130万台で、20年は新型コロナの影響で92万台に減る。もしFTAを結んで現在の関税ゼロが維持できた場合は、25年までに135万台に回復すると予想している。

英EUは7月から交渉を加速させて早期決着を目指すが、今のところ議論は膠着している。離脱で政策決定の主導権を取り戻したい英国とEUの溝が深いためだ。英自動車産業はEUから部品を輸入して完成車を輸出するサプライチェーンで成り立っており、FTAなしの打撃は大きい。

英自工会のマイク・ホーズ会長は23日に日本経済新聞の取材に応じ、関税や貿易制限が課されれば「競争力を失い、産業が脅かされる」と強調した。その上で「年内になんらかの合意を得ることは可能だ」として交渉の進展に期待を示した。

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