中国、インドと「沈静化で一致」 国境係争問題で協議

2020/6/23 17:25
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インドは中国との係争地域で兵士を増強している=ロイター

インドは中国との係争地域で兵士を増強している=ロイター

中国とインドの国境近くの係争地で両軍が死傷者を出した問題で、中国外務省の趙立堅副報道局長は23日記者会見し、22日に両軍司令官が協議して「事態の沈静化に向けて必要な措置をとることで一致した」と述べた。

ロイター通信は23日、インド政府関係者の話として、中印両軍の指揮官が係争地域から引き揚げることで合意したと伝えた。趙副報道局長はこの報道に関しても「両軍の部隊は現地で段取りを調整している」と述べ、大筋で認める発言をした。

ヒマラヤ山脈などで接する中印間では約3千キロメートルの国境が画定していない。両軍の15日の衝突ではインド側が20人の死者を出した。

このまま事態が解決に向かうかはなお不透明だ。15日の衝突前も両国は「平和的解決」で一致していた。両軍は国境周辺で兵士を増員し、中国は一部の地域で約1万人の兵士を配置しているとされる。

中印係争地域での武力衝突で死者が出たのは45年ぶりで、1962年の中印国境紛争以来の危機を懸念する声がある。インドのモディ首相は「刺激されれば対抗策を取る」と明言し、状況に応じて自由に武器で攻撃できる権限を現場の指揮官に与えた。

中国では反発が広がる。「モディ氏が軍と国民をなだめるためだったとしてもあまりに無責任だ」。中国共産党系メディアの環球時報は23日の社説でこう批判した。中印は96年と2005年に国境地帯でもめ事が起きても武器を使わない協定を結んでいる。

社説ではインド政府が軍に「完全な自由」を認めたと非難した。「中国の国内総生産(GDP)はインドの約5倍、軍事費は3倍以上だ」として「インドが再び歴史的な過ちを犯さないように希望する」と警告した。インターネットでも「インドが危険な行動に出るなら徹底的に痛めつけるべきだ」などとの批判的な書き込みが増えている。

ロシアのラブロフ外相は23日、中国の王毅(ワン・イー)外相、インドのジャイシャンカル外相と電話協議した。ラブロフ氏は協議後の記者会見で「中印で相互に受け入れ可能な解決に向けて(国境問題の)協議を続けている」と話した。中印ロの国防当局による協議も年内に開くという。ロシアは中印との間を仲介することで、トランプ米政権に対抗する思惑が透ける。

トランプ米大統領は20日に「中印は問題を抱えている。米国は彼らと対話しており助けたい」と指摘し、5月下旬にも「インドのモディ氏と話したが、中国との間で起きていることについて彼は上機嫌ではない」と述べた。トランプ政権は中国包囲網をつくる「インド太平洋戦略」でインドを取り込みたい構えだが、今回の問題解決への具体的な動きは乏しい。

(北京=羽田野主、馬場燃)

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