こまつ座が公演再開 太宰治の評伝劇を12年ぶり再演

文化往来
2020/6/29 8:00
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「人間合格」のけいこ。俳優もマスクを着けている。中央が太宰(津島修治)役の青柳翔、ほかの2人は友人役で左は伊達暁、右は塚原大助=宮川舞子撮影

「人間合格」のけいこ。俳優もマスクを着けている。中央が太宰(津島修治)役の青柳翔、ほかの2人は友人役で左は伊達暁、右は塚原大助=宮川舞子撮影

作家、井上ひさしの戯曲を上演する「こまつ座」が、新型コロナウイルスによる自粛期間を終えて公演を再開する。7月6~23日に「人間合格」を東京の紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAで再演する。1989年に初演した作家、太宰治の評伝劇で、戦争や左翼運動とともにあった青春期から死の間際までを2人の男との友情を軸に描く。主役の太宰(津島修治)は劇団EXILEの青柳翔が演じる。

12年ぶりの今回はコロナ禍で様々な制約を受けながらの上演となる。俳優やスタッフがマスクを着けて稽古する中、演出の鵜山仁は「わが身大切と万人平等、この対立なんだよ、人間の歴史は」というセリフに引かれたという。「ここでいう『歴史』は、実はものすごく長い歴史を指すのかもしれない。友人との関係を描いた戯曲でもあるので、ソーシャルディスタンスといわれる時代の人間の距離について考える舞台にできたら」と語る。

こまつ座の井上麻矢社長

こまつ座の井上麻矢社長

こまつ座は3本の公演の中止や延期を迫られた。初日が目前の公演もあっため、準備費用などがそのまま赤字になった。2010年の井上没後、こまつ座を率いてきた三女の麻矢は「継いだ当初、1億円あった借金をようやく減らしたのに、また元に戻ってしまった」と話す。20年は約120ステージを予定していたが、半分以下になる見込みだ。感染防止のため観客数を減らす必要もあり厳しい状況が続くため、クラウドファンディングで支援を募っている。

麻矢は「父が『絶対に潰すな』と言い残したこまつ座と、父の作品を熟知するスタッフを守りたい」という。「不要不急かもしれないが、演劇には人間らしい、濃厚なコミュニケーションがある」と強調する。山形、宮城、兵庫、愛知県へ巡演する。

(瀬崎久見子)

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