植樹中断も松林復活へ汗 岩手、草刈り続ける住民

2020/6/23 12:16
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東日本大震災で津波被害を受けた岩手県陸前高田市の景勝地・高田松原の松林を復活させるため、地元のNPO法人「高田松原を守る会」が約3年前から進める苗木の植樹が中断している。新型コロナウイルスの影響で県外ボランティアが集まりにくくなったためで、関係者は「試練を乗り越え、美しい風景を後世に残す」と再開に向け、草刈りに汗を流す。

高田松原の再生に向けた苗木の周りで雑草を取る女性(5月31日、岩手県陸前高田市)=共同

「ウイルスが流行しても草は伸び続けます」。1メートル前後の苗木が並ぶ砂浜近くで5月末の日曜、守る会の鈴木善久理事長(75)は、約10人の会員らに苦笑交じりのあいさつをした。会員らは午前9時から約2時間半、機械を使うなどして苗木の周囲に生い茂る雑草を刈り取った。震災後に福井県坂井市から陸前高田市に移住した青木大悟さん(30)は「草はすぐ大きくなる。人手不足で困っている今こそ役立ちたい」と笑顔で話す。

高田松原は、江戸時代に潮風から田畑を守るために松を植えたのが起源とされ、1940年に国の名勝に指定。しかし震災の津波で、唯一耐えた「奇跡の一本松」を除く約7万本が失われた。

植樹は2017年から本格的に始まった。約8ヘクタールの盛り土に守る会が約1万本、岩手県が約3万本の苗木を手分けして植え、約50年かけて松林を復活させる計画だ。同会は毎年春に植樹し、昨年は4日間で全国から計約700人が参加した。

今年の植樹で担当分の残り約千本を植え終わる予定だったが、新型コロナの影響を受け来年春に延期となった。雑草取りも例年、県外の人たちに手伝ってもらっていたが、当面は会員や地元の有志を中心に行う。

昨年の台風19号では約600本の苗が倒れ、ボランティアの力を借りて修復した。「最初に松を植えた江戸時代の先人も大変な苦労をしたはず」と鈴木理事長。「復興に高田松原は不可欠。苦境に負けず、子孫が誇りにできる松林を復活させたい」と力を込める。〔共同〕

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