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畑岡・渋野・鈴木のビッグ3、コロナで開幕そろい踏み
編集委員 串田孝義

2020/6/24 3:00
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本来なら6月最終週は東京五輪女子ゴルフの代表争いが締め切られる全米女子プロ選手権が開かれ、五輪代表をめざす有力者はこぞってこの海外メジャーに参戦したはずだった。新型コロナウイルスの地球規模での感染拡大により、世界が一変するまでは。

東京五輪は1年延期。国内女子ツアーは3月から中止が続き、17番目の椅子に座っていた25日開幕のアース・モンダミンカップ(千葉県カメリアヒルズCC)にツアー開幕戦の座がめぐってきた。しかも東京五輪ゴルフの女子日本代表を狙う畑岡奈紗、渋野日向子、鈴木愛のビッグ3がそろい踏みする。すべては感染症という深刻な問題が導いた予想外のシナリオ。女子ツアー最高の優勝賞金4320万円をめぐる争いも予想を超えたものになるかもしれない。

アース・モンダミンカップの公式練習日、マスク姿でコースに現れた笑顔の畑岡奈紗(23日)=ゲッティ/JLPGA提供

アース・モンダミンカップの公式練習日、マスク姿でコースに現れた笑顔の畑岡奈紗(23日)=ゲッティ/JLPGA提供

とはいえ優勝候補筆頭は現在凍結中の世界ランクで4位と日本勢トップの畑岡。昨年9月の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯、10月の日本女子オープンと米ツアー参戦の合間を縫って国内メジャー2勝を達成した実力は頭一つ抜きんでている。

畑岡、五輪で「金」を現実的な目標に

今年に入っても中断前の1月の米ツアーで開幕戦から2戦連続で2位。もともと東京五輪への出場権獲得は通過点にすぎず、金メダルを現実的な目標と見据えていた。「中止にならなかっただけありがたい」。東京五輪の延期決定後はすぐに気持ちを切り替え、茨城県の実家にこもってトレーニングに集中した。

初出場となるアース・モンダミン杯はスコアの出る試合だ。4日間大会となった初年度の13年大会を制した堀奈津佳の21アンダーが最少優勝スコア記録で、毎年激しいバーディー合戦が繰り広げられる。畑岡の昨季の平均飛距離262ヤードは米ツアーでは44位だが、日本ツアーに数字だけあてはめればトップクラスの飛ばし屋。飛距離の優位を生かしたバーディーラッシュは昨年の国内メジャー2冠でみせた試合運びがそのまま通用するだろう。

鈴木、東京五輪見据えてスイング改造

世界ランク14位の鈴木は日本ツアーの賞金女王、17年大会の優勝者としてのプライドを胸に畑岡独走に待ったをかけるか。東京五輪を見据えて取り組んできた改造スイングがお披露目の時を迎える。

鈴木といえば右サイドへの大きな体重移動が特徴的。連戦や長時間の移動を要する海外メジャーで疲労がかさんだり、慣れない芝や硬い地面の影響を受けたりするとショットの左へのぶれが大きくなっていた。恒例となっている今年1月の米アリゾナ合宿では、体幹強化への取り組みと並行して体の軸を揺らさない新スイングを仕上げたという。

アース・モンダミンの公式練習日、入念にグリーン周りをチェックする鈴木愛=ゲッティ/JLPGA提供

アース・モンダミンの公式練習日、入念にグリーン周りをチェックする鈴木愛=ゲッティ/JLPGA提供

緊急事態宣言の出ていたステイホームの3カ月間、まったくラウンドをせず、コースでの感覚が薄れた直近の調子は日替わりの状態。ほんの数ラウンドを消化して開幕を迎える。それでもアース・モンダミン杯は7年連続の出場。「(カメリアヒルズは)もともと苦手な関東のタイプ」というコースへの苦手意識を1年ずつ積み上げた経験値で克服した。

「今年はできて10試合。そこで1勝か2勝して、賞金ランク5位くらいで21年を迎えたい」。中止続きで2020、21年が合体することになった統合シーズン。2季連続の賞金女王、来年夏の東京五輪出場とともに延長戦を余儀なくされた2つの大目標を見据える目線はぶれることがない。

渋野、特訓でウエッジの「溝」も消え

世界ランク12位の渋野にとって、今年の参戦スケジュールはここまですべてがひっくり返されてきた。2月のアジアでの米ツアーが2戦とも中止、結局延期となった当初4月のメジャー大会、ANAインスピレーション(米カリフォルニア州)に向けて早めに渡米して備えたものの空振りに。今秋挑戦する予定だった米ツアーの21年出場権をかけた予選会も行われないことが決まった。

昨年夏の全英女子オープン制覇で始まったシンデレラストーリーは思わぬ形で踊り場への待機を強いられた。前年優勝者としての責任も生じる8月20~23日の全英女子(英ロイヤルトルーンGC)は開催されるのか、出入国の規制はどうなるのか、地元岡山で開催される日本女子プロと同週になってしまったANAインスピレーションのどちらに出場するか。「悔いのないように決めていきたい」と渋野。悩みの種はつきない。

アース・モンダミンカップの公式練習をスタートした渋野日向子=ゲッティ/JLPGA提供

アース・モンダミンカップの公式練習をスタートした渋野日向子=ゲッティ/JLPGA提供

ウイルス禍に振り回されながらも、ゴルフの技術向上に向けた練習は岡山の実家を拠点にみっちり積んできた。青木翔コーチの「青木流」指導の根幹ともいえる連日のウエッジ特訓。フェースの溝が消えるほど打ち込み、「58度(のウエッジ)が今、5本目」と、青木コーチも目を丸くする。トレーナーの指導の下、体力強化にも努めて、ドライバーの飛距離も10ヤードアップしたという。

「どうやってプレーしとったかなあ。(試合勘は)忘れちゃってます」と大笑い。開幕戦の目標も「予選通過」。「とにかく去年がよすぎた。今年はちょっと下手なことをしたっていい」。試合勘を取り戻すのにどれほどの時間を要するのか。アース・モンダミン杯では選手、キャディーしかコースに入れない厳戒態勢が敷かれる。

コーチ、トレーナー、用具担当者らとチームを組んで戦うのが普通となっている選手にとっては不便なことこの上ない。全英女子の初優勝でキャディーを務めてもらい、昨年も困ったときは試合への帯同を願い出ていた青木コーチという参謀を傍らに置くことがかなわず、渋野が2年目のジンクスとの戦いをどう踏み出すだろうか。

東京五輪がこの夏に行われていればメダル争いが大いに期待されたであろう日本女子のビッグ3が、国内の試合で顔をそろえるのはこのアース・モンダミン杯が今年最初で最後になる可能性もある。世界のトップ15が3人出場するハイレベルな一戦。世界ランクの加算が凍結されたままなのが惜しい。

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