リビア「代理戦争」混迷、エジプトが軍事介入警告

2020/6/22 19:13
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リビア内戦では暫定政権側が攻勢を強めている(トリポリ)=ロイター

リビア内戦では暫定政権側が攻勢を強めている(トリポリ)=ロイター

エジプトのシシ大統領が20日、隣国リビアの暫定政権に対し、軍事介入も辞さないと警告した。内戦で攻勢を強める暫定政権と、後ろ盾のトルコをけん制する狙いだ。リビア内戦はトルコやロシアなどの軍事支援で代理戦争の様相を強めており、エジプトも介入を強めれば混迷が深まる懸念がある。

「エジプトによるいかなる直接的な介入も正当性がある」。シシ氏は20日、リビア国境に近い軍の基地で演説し、軍事介入の可能性を示唆した。エジプトはリビアで暫定政権と敵対する有力軍事組織リビア国民軍(LNA)を支援している。

リビアは2011年にカダフィ政権が崩壊後、国が分裂し内戦状態に陥った。西部の首都トリポリを拠点とするシラージュ暫定政権と、東部のLNAとの間で戦闘が続いている。

LNAは一時トリポリまで進軍し暫定政権を追い詰めたが、暫定政権がトルコの軍事支援を受けたことで戦局は転換した。勢いを盛り返した暫定政権は今月に入り、トリポリの周囲を完全に掌握したと宣言した。さらに反撃を強め中部の要衝のシルトに攻勢をかけている。

シシ氏は20日、シルトについて「レッドライン(越えてはならない一線)だ」と強調した。シルトはリビアの主要油田に近く戦略的に重要な拠点だ。エジプトはここがトルコが支援する暫定政権の手に落ちるのを警戒している。

エジプトは6月上旬、リビア内戦の当事者に停戦期間入りを提案していた。今回、軍事介入をちらつかせたシシ氏の演説にも、リビアを巡る駆け引きでエジプトの発言力を高める思惑が透ける。

リビア内戦は代理戦争の色合いを強め事態を複雑にしてきた。暫定政権にトルコやカタールなど、LNAにロシア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)などがそれぞれ付く構図だ。トルコは東地中海の資源を巡って自国に有利な排他的経済水域(EEZ)の境界で合意した暫定政権を軍事面で支える。これに対しロシアはLNAを支援するため傭兵(ようへい)部隊を派遣しているとみられている。

国連は10日、停戦協議を再開したと発表したが、妥協点を見いだすのは簡単ではない。足元の戦闘で優位に立つ暫定政権も、リビア全土を掌握する力は乏しい。軍事攻勢を強めながら、停戦協議で有利な条件を引き出そうとしている。

暫定政権のシラージュ氏はLNAを率いるハフタル司令官とは交渉しない姿勢を示し、6日にハフタル氏とエジプトが共同で発表した和平プロセス案も一蹴している。

暫定政権はシシ氏の演説を受け「市民と国際平和への脅しだ」と批判する声明を発表した。後ろ盾のトルコは、LNAの支配地域をさらに削り取る構えを見せる。トルコ大統領府のイブラヒム・カルン報道官はAFP通信に、内戦の全当事者が15年当時の拠点に戻れば停戦が可能だとの見方を示した。LNAがシルトなどから撤退することになるため、エジプトが反発を強める可能性がある。

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