南シナ海で防空識別圏の報道 中国外務省「権利ある」
26日のASEAN首脳会議、対中姿勢協議へ

【北京=羽田野主、ハノイ=大西智也】中国外務省の趙立堅副報道局長は22日の記者会見で、中国が南シナ海での防空識別圏の設定を適切な時期に公表する可能性が一部で報じられていることについて「それぞれの国は防空識別圏を設定する権利を持っている」と主張し、否定しなかった。
防空識別圏は領空に近づく航空機を識別するための空域で、戦闘機の緊急発進(スクランブル)の判断基準となる。

一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)は26日にオンラインで首脳会議を開く。議長国ベトナムが明かした。中国の海洋進出への対応が議題の一つになりそうで、南シナ海で中国と領有権を争うベトナムなどが懸念を表明する可能性がある。
趙氏は会見で「南シナ海が面している空中の安全や脅威に基づいて、(中国は)総合的に考慮しまじめに注意深く研究している」とも述べた。
中国はかねて南シナ海のほぼ全域に同国の主権が及ぶと主張している。
香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は最近、中国軍関係者の話として、中国が南シナ海での防空識別圏の設定を適切な時期に公表する可能性を報じた。中国は2013年、東シナ海で防空識別圏を設けたと発表した。
ASEAN首脳会議では新型コロナウイルス対策も協議する。感染拡大を足元で抑制し、経済活動の再開を進めているベトナムやタイのノウハウをほかの加盟国が共有できるかが課題だ。加盟10カ国はなお域内や域外の諸外国との人の移動を厳しく制限している。
日本も参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉進展についても議論する。19年にRCEPからの離脱を示唆したインドの扱いを協議しながら、20年中の交渉妥結を目指す方針を再確認するもようだ。
首脳会議はASEANの最高意思決定機関で、通常は春と秋の年2回開く。20年は当初、4月上旬にベトナム中部のダナンで予定されていたが、新型コロナの感染拡大のため延期されていた。

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