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高校野球、地方で代替大会相次ぐ 新たな形の模索も

2020/6/24 3:00
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新型コロナウイルスの影響で高校野球の各大会が中止になるなか、代替大会を開催する動きが活発になってきた。日本高野連は8月、春の選抜高校野球への出場が決まっていた32校を甲子園球場に招待して交流試合を行う。各都道府県高野連も中止となった夏の地方予選に代わる独自大会の開催を目指している。高校野球界の試みが、全国高等学校体育連盟(全国高体連)傘下の競技や文化部のジャンルにも広がり、様々な大会やイベントを再開するモデルケースになることも期待されている。

交流試合の開催で、選抜高校野球に出場するはずだった32校の球児は憧れの甲子園でプレーできることに=共同

交流試合の開催で、選抜高校野球に出場するはずだった32校の球児は憧れの甲子園でプレーできることに=共同

「交流試合の開催は、日本高野連の新たな挑戦だ。どうか開催にご理解とご協力を求めたい」。10日の記者会見で日本高野連の八田英二会長はこう語った。高校部活動の他の大会やイベントが軒並み中止となるなかでの「全国大会」実施には異論も出ており、開催への理解を社会から得たいとの思いが言葉ににじんだ。

高体連の加盟団体でも競技や地方ごとに独自大会の開催や大会再開を検討する動きが出ている。とはいえまだ手探りの状態であり、今回の日本高野連の決定は一歩踏み込んだ印象が強い。賛否両論があるだろうが、社会全体が新型コロナとの共生の方法を模索するなか、学校の部活動も新たなあり方を探り始めるべき時だろう。

先行事例としてノウハウ共有を

高校生によるスポーツ大会、文化系の催しはそれぞれ規模や開催条件、運営方法などが異なり、野球の大会が全てにおいて参考になるわけではない。ただ、今回の日本高野連の試みがうまくいけば、コロナとの共生時代における全国規模の大会実施の先行事例になる。他の部活動と開催ノウハウを共有することで、より意義のある大会になるはずだ。

日本高野連は「感染防止に万全を期す」(八田会長)。開催期間は8月10~12日、15~17日の計6日間で、各校が無観客で1試合のみ行う。1チームの参加人数は選手20人と監督、責任教師、校長、ノッカー、記録員、補助員ら計30人以内とする。保護者や控え部員ら関係者の観戦を認めるかは今後の感染状況をみて決める。

関東以西のチームは公共交通機関を使わず、日本高野連がチャーターしたバスで地元と甲子園を往復する。宿泊は最大2泊にとどめ、甲子園の近隣校は日帰りとする。こうした対策で感染を防ぐ考えだ。

交流試合の開催が決まり、帽子を投げて喜ぶ日本航空石川の選手たち=共同

交流試合の開催が決まり、帽子を投げて喜ぶ日本航空石川の選手たち=共同

高校野球は夏の甲子園大会と共に地方大会も中止になった。大半の都道府県高野連が地方予選の代替大会を行う方向で動いており、独自大会の開催決定も相次ぐ。トーナメントで優勝校を決める従来型の方式を掲げる県が多いが、授業日の確保を優先するため1校あたり1試合のみやベスト8で打ち切るなど、限定的な実施を視野に入れる県もある。

試合ごとにベンチ入り選手の入れ替えを可能にしたり、人数枠を拡大したりする県が少なくないのは、多くの選手にプレーの機会を与えるため。一方で練習不足による熱中症やケガを防止する観点から、7イニング制にして試合時間の短縮を図る地方もある。

県によって開催の可否や開催方式が異なるのは公平性を欠くとの意見もある。ただ、コロナとの共生時代には各地域が地元の感染状況などの実情に合わせて、大会のありようを決めざるを得ない面がある。

大会の企画立案に球児の参加も

高校野球に詳しいスポーツライターの小林信也氏は、都道府県高野連がもっと独自色を打ち出すべきだと主張する。「なぜほぼ全ての都道府県高野連が従来型のトーナメント方式にこだわっているのかが疑問。これを機に、高校野球の可能性を広げるような新たな形の大会を企画してほしい」と注文する。

斬新なアイデアを生み出すために、各高野連のみが主催者となるのではなく、当事者である球児や指導者らを大会の企画や計画作りに参加させることも提唱する。「全てを大人が決めてきたのが日本の高校野球の伝統だが、高校生が起業して社長になる時代。高校生にもなればみんな自分の考えを持っており、(大会の企画立案に加えることが)球児の成長にもつながるのでは」と語る。

参加者の健康が最優先である以上、現状では全国から1つの会場や地域に多くの高校生を集め、長期間の宿泊を伴う甲子園大会や全国高校総合体育大会(インターハイ)のような大規模イベントを完全な形で実施するのは難しい。しばらくは各地方が主体となってコロナと共生可能な大会方式を模索し、部活動のともしびを消さないことが重要になる。

佐賀県が高体連の下にある競技と高校野球を統合した総合スポーツ大会を企画したように、地方によっては既に新たな試みが始まっている。今後、地方が果たすべき役割は大きい。小林氏も「色々なことを見直すべき時期。見直しを画期的にできた競技は生き残り、できなかった競技は淘汰されていくと思う」とみる。新たな風を起こすのはどの競技、どの地方になるのだろうか。

(田村城)

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