パソコン、テレワーク需要一巡 5月は前年比21%減

2020/6/22 14:29
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テレワーク特需は一巡しつつある(家電量販店のパソコン売り場)

テレワーク特需は一巡しつつある(家電量販店のパソコン売り場)

国内のパソコン出荷は新型コロナウイルスに対応したテレワーク関連の需要が一巡しつつある。電子情報技術産業協会(JEITA)が22日に発表した5月の出荷台数は前年同月比21.7%減の54万台だった。緊急事態宣言が解除された後も多くの企業が在宅勤務の仕組みを続けているが、必要な数量のパソコンは確保できつつあるようだ。

4月は前年実績を5.3%上回ったが、再びマイナスに転じた。ノート型パソコンは44万7千台で8%減にとどまったが、法人需要が中心のデスクトップ型パソコンは同54.5%減の9万3千台と半減の結果だった。

「テレワーク関連の需要は4月末をピークに、なだらかに右肩下がりとなっている。現状はピーク時の半分程度だろう」。ビックカメラ池袋本店パソコン館(東京・豊島)で売り場を統括する販売員の木村麻人氏は4月以降を、こう振り返る。

2019年には米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」のサポート終了を目前に控え、買い替え需要が大きく膨らんだ。消費増税前の駆け込み需要もあり、19年出荷は20年ぶりに前年を3割以上も超える結果となった。

一方で買い替え需要の反動減は大きく、2月や3月のパソコン出荷台数は前年実績を2割以上、下回っていた。

そんな状況を一変させたのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。3月に入ると多くの企業が在宅勤務の導入に走った。そのためには社員の自宅にパソコンを配置する必要がある。大手パソコンメーカー幹部は「一定数のノートパソコンをそろえようとする企業からの問い合わせが後を絶たなかった」と明かす。

こんな状況を反映し、4月の国内パソコン出荷台数は前年同月比5.3%増の69万9千台となった。中でもノート型パソコンは11.4%増の56万台と大きく伸びた。

ビックカメラの販売担当者は「4月のピーク時の客足は、ウィンドウズ7のサポート終了前と比べても2割は多かった」と当時を振り返る。

「テレワーク特需」はメーカー各社も動かした。富士通はウェブカメラを手動でふさげるようにするなど、外部からの不正アクセスによる情報漏洩のリスクを物理的に防ぐモバイルパソコンを法人向けに発売した。

テレワークに対応した製品の開発は今後も進める。「軽量でもバッテリー稼働時間を長くするモビリティー性能を追求したり、ビデオ会議用にカメラやスピーカーを最適化するなどの取り組みを進めていく」という。

NECパーソナルコンピュータは設定した利用者以外の視線を検知すると画面をぼかすなど、テレワークに特化した個人向けノートパソコン「LAVIE Pro Mobile」を発売した。河島良輔執行役員は「テレワークが今後も浸透していくほか、教育分野でもオンライン化が進む。これに伴って一家庭に必要なパソコンが増える」と予想している。

全国で緊急事態宣言が発令された後の国内パソコン市場を振り返ると、けん引役となったのは個人向け販売だ。

家電量販店やネットショップのPOS(販売時点情報管理)データを調査するBCN(東京・千代田)によれば5月第1週のノートパソコン販売台数は前年同期比83.6%増という大幅なプラスを記録した。5月全体でみても前年実績より5割増え、テレワークの普及が販売増に直結した。

しかし6月に入ると伸びは鈍化し、第1週のノートパソコン販売台数は41.8%増。2週も25.6%増にとどまった。

改めて足元の状況をみれば、MM総研(東京・港)は4~6月の国内パソコン市場を前年同期比15%減と予測し、内訳では法人向け出荷台数が約3割減るとみている。一方で個人向けは24%増える見通し。この辺りが「テレワーク特需」の実態だといえそうだ。7~9月の個人向けの出荷も12%減を見通している。

異例の特需は一巡しつつあるが、すでにパソコンメーカー各社は次の商機も見据えている。20年の後半から、すべての小中学生に1人1台のIT(情報技術)端末を配備する政府の「GIGAスクール構想」だ。教育委員会による端末の調達がこれから本格化する。MM総研の中村成希執行役員は「GIGAスクールで国内出荷の台数は押し上げられる」と語る。

一方で、今回の商戦は高機能の高額製品が受け入れられたテレワーク需要とは異なり、端末の価格を抑えながら数量の販売を競う方式となる。価格と機能の最適設定や顧客の要望に応じた販売方法など、メーカー各社の課題への対応力が改めて問われることになる。

(河端里咲)

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