交錯する歓声と怒号 厳戒下のトランプ氏集会

米大統領選
2020/6/21 8:36 (2020/6/21 14:09更新)
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トランプ大統領の支持者と「反トランプ」のデモ参加者が言い争う場面も(オクラホマ州タルサ)

トランプ大統領の支持者と「反トランプ」のデモ参加者が言い争う場面も(オクラホマ州タルサ)

【タルサ=永沢毅】トランプ米大統領が20日に南部オクラホマ州タルサで臨んだ選挙集会は、新型コロナウイルスの感染拡大とデモを警戒する厳戒態勢が敷かれるなかでの開催となった。一帯はトランプ氏の支持者と集会に反対する人の歓声や怒号が交錯し、異様な雰囲気に包まれた。

約19000人を収容できる屋内アリーナ「BOKセンター」。周辺一帯は鉄柵やフェンスなどで封鎖され、ライフル銃を持った警備員の監視の目が光る。入場チケットがなければ会場に近づけない。入場者には体温検査が義務付けられ、マスクも配布されたものの、会場内はマスクを着用していない支持者のほうが多い。

初めて集会に参加した州内在住のクリス・ナッティングさん(39)もその1人だ。「民主党は新型コロナの脅威を強調しすぎている。感染爆発などおきていない」と気にするそぶりはない。選挙戦の形勢は今は不利だと認めながらも「私たちが大統領を元気づけ、勝たせてみせる」と力を込めた。

ただ、同州の感染者は18日に450人増加し、最悪を更新した。20日には集会の準備にあたっていたトランプ氏の陣営スタッフのうち、6人の感染が判明。ニューヨーク州から来た60歳代の民主党支持者、ヘレン・ハイタワーさんは「マスクなしでこんなところに来るなんてどうかしている」とうんざりした表情をみせる。

トランプ米大統領の選挙集会の会場周辺は厳戒態勢が敷かれた(オクラホマ州タルサ)

トランプ米大統領の選挙集会の会場周辺は厳戒態勢が敷かれた(オクラホマ州タルサ)

それでも集会を強行する理由をトランプ陣営の関係者は「大統領にとって、集会は支持者だけでなく自らを鼓舞する舞台装置だ」と説明する。トランプ陣営のスローガンである「米国を再び偉大に」のマントを羽織った20歳代の男性は「頻繁に集会が開けるようになれば、バイデン(前副大統領)にすぐ追いつける。きょうがその契機だ」と自らに言い聞かせるように語った。

会場周辺では、白人警官による黒人暴行死に抗議する人の姿も多くみられた。タルサ在住の高校生、ソブリン・ニューエンさん(16)は「新型コロナと黒人暴行死への対応に失敗したトランプは大量虐殺者だ。許せない」とデモに駆けつけた理由を話す。

デモ参加者とトランプ氏の支持者との小競り合いも頻発し、たびたび緊張が走った。「Black Lives Matter(黒人の命も大事だ)」のシャツを着用して人種差別の解消を訴える女性に対し、白人の男性が「白人こそが迫害されているんだ! おまえたちが人種差別主義者だ」と罵声を浴びせる場面もあった。

この女性は「人種差別は良くないと訴えているだけなのに……」と力なくつぶやいた。そもそもタルサは99年前に米史上で最悪とされる白人による黒人虐殺事件があった場所で、黒人暴行死を受けての開催には批判が集まっていた。3カ月半ぶりとなった現職大統領の選挙集会は、コロナや暴動などの相次ぐ危機によって深まる分断に苦悩する米国の姿を浮き彫りにしている。

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