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厨房さえあればいい 料理人、固定費削減へ脱・店舗

クラウドキッチンでは複数の調理人が厨房を共有しコストを下げながら飲食サービスを提供する。(東京都内)

飲食店の経営者や料理人の間で、共用の厨房を使った宅配やキッチンカーの移動販売など「脱店舗」を模索する動きが出ている。新型コロナウイルスの終息は見通せず、今後も客席削減などの感染対策を求められる。従来の経営モデルでは固定費の負担に耐えられないとの判断が背景にある。

「自分の店を持つことだけが料理人の独立という時代ではなくなった」。6月上旬、イタリア料理シェフの松並輝幸さん(33)は店長を務めていた都内の店を辞め、宅配用の厨房施設「クラウドキッチン」を使って生計を立てることを決めた。

飲食スタートアップのWORLD(東京・中央)が5月に始めたクラウドキッチンの新サービス「&(アンド)キッチン」に登録し、宅配代行「ウーバーイーツ」などを使って料理を販売する。手数料はかかるが、家賃や設備費、水道光熱費は負担せずに済む。

同社の坂めぐみ社長は「コロナ禍の休業で打撃を受けた店のために急ごしらえで始めた面もあるが、新たな飲食ビジネスとして急速に定着し始めている」と話す。開始1カ月余りで料理人からの申し込みは50件に上り、厨房施設は7カ所に増える見通しだ。

店舗コンサルティングのM&Aオークション(東京・豊島)によると、標準的な個人経営の飲食店の営業利益率は10~15%程度。業態や立地で差はあるが、売り上げに対し家賃1割、水道光熱費1割、人件費と食材費で6割ほどを占めることが多いという。休業要請が解除されても「新常態」の客席削減などで飲食店の経営環境は厳しい。

店舗の厨房を拡充し、キッチンカーでの販売にも力を入れる「ミートミートミート」(東京・千代田)

肉料理店「ミートミートミート」(東京・杉並)を営む谷岡一久さんは客席を減らして厨房を拡張し、キッチンカー向けの仕込みに力を入れることにした。昨夏始めた1台目が好調で、7月以降は4台に増やす計画。「仕込みからこだわった料理を増やし、競合との差別化にもつなげたい」

もともと飲食店の生き残り競争は激しく、日本政策金融公庫の調査によると11年末~15年末の廃業率は対象13業種で最も高い19%だった。

帝国データバンクによると、1~4月の飲食業の倒産件数は290件で、過去最多だった前年同期を3割上回る。このうち少なくとも約30件は、新型コロナ関連の倒産だという。

政府の持続化給付金や日本政策金融公庫の無利子融資のほか、7月以降は中小事業者を対象にした家賃支援給付金も始まる見通し。こうした支援策で急場をしのごうとしている店は多いとみられるが、新型コロナの影響がどこまで続くのか、先行きは不透明だ。

日本フードアナリスト協会(東京・千代田)の横井裕之理事長は「運営コストを抑えられる『脱店舗』で生き残りを図る動きはさらに広がるだろう」と話している。

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