中国海警局、軍と融合加速 法改正で平時から共同訓練

習政権
2020/6/20 17:30 (2020/6/20 22:14更新)
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福岡・沖ノ島周辺の領海に一時侵入した中国海警局の船(2017年7月、第7管区海上保安本部提供)=共同

福岡・沖ノ島周辺の領海に一時侵入した中国海警局の船(2017年7月、第7管区海上保安本部提供)=共同

【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が日本の海上保安庁に相当する組織である海警局の役割を強化する。中国軍と連携し、平時から軍と共同訓練をできるようにする。戦時は軍の指揮下に入り一体的に運用する。海警局と軍の融合が進めば周辺国にとって脅威となる。

海警局の船は南シナ海のほか、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の周辺海域でも活発に活動し、海保の巡視船とのにらみ合いが続く。近年は機関砲などを積む船もあり、日本側は警戒感を強めている。

中国の国会に相当する全国人民代表大会の常務委員会で20日、人民武装警察(武警)法の改正を採決し成立した。武警法の改正は2009年以来11年ぶり。中国国営の新華社が伝えた。

改正法によると「戦時」と判断した場合、武警は習近平国家主席が率いる中央軍事委員会か、中国内で5つある中国軍の「戦区」の指揮を受ける。武警の一部である海警局にも同法を適用する。

戦時は軍と海警局の船が一体で動き、軍事作戦にも参加する。平時も軍との共同訓練や演習、緊急救助などを実施する。軍との融合を進め、海上での警備から軍事活動までを境目なく円滑に対応できる態勢づくりが狙いとみられる。

改正法には武警の任務として「海上の権益保護と法執行」も盛り込んだ。これまで武警は治安維持や重要インフラの警備といった陸上任務がほとんどだった。60万~70万人の人員を擁するとの見方がある。今後は海上警備任務にも人員を振り分ける可能性がある。

海上での法執行任務で一定の条件で、武器の使用を認める規定も新たに設けた。海上警備を妨害した場合などは刑事責任を追及できるとした。

18年7月の機構改革で海警局を中央軍事委の指揮下にある武警に編入した。具体的な体制や運用を法律に明記したのは今回が初めてだ。

米国との海洋覇権を巡る争いを視野に、海警局を取り込んで海洋での軍事能力の底上げを狙った措置との見方がある。

尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海を巡る問題を抱える周辺国にとっては懸念が高まる。

南シナ海ではベトナムやフィリピンなどが中国と領有権を争う。中国は南シナ海のほぼ全域で権益を主張し、軍事拠点の建設などを進めて実効支配を強めている。

海警局の船の活動は尖閣諸島周辺でも活発だ。日本の領海のすぐ外側にあたる接続水域での航行日数は20日時点で4月14日から68日連続。12年9月の尖閣国有化以降で最長を更新した。

5月8日には尖閣周辺の領海に侵入し、日本漁船を追尾した。河野太郎防衛相は「機関砲を積んだ船が恒常的に複数入ってくる状況だ」と指摘し、海警局の船の武装化を懸念する。

武警法の改正は全人代が19年12月に示した20年の立法計画には入っていなかった。急きょ議題にのぼった背景には台湾に圧力をかける考えもありそうだ。台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が1月の総統選で圧勝した。中国への批判を強め、米国との関係を強化している。

習指導部は台湾や尖閣諸島、南シナ海などを断固譲れない「核心的利益」と位置づける。

新型コロナウイルスの感染の第1波が中国国内でピークを越えた今春ごろから、海洋分野での中国の強硬姿勢が再び目立ってきた。米国などが国内対応に追われる間に備えを強めたいとの思惑も透ける。

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