アルゼンチン債務交渉、5度目延期 政府に不信感
【サンパウロ=外山尚之】アルゼンチン政府は19日、同日を期限とする債務交渉を7月24日まで延期すると発表した。延期は5回目。詰めの段階でアルゼンチン政府が譲歩する姿勢を見せない中、国債を保有する民間債権者が交渉からの離脱を示唆するなど、波乱含みの展開となっていた。

アルゼンチン政府は4月から国債の利払いを停止。5月にデフォルト(債務不履行)を確定させた上で、国債を保有する米欧の機関投資家と債務再編交渉を続けていた。しかし、双方とも条件面で合意できず、延期を繰り返している。
前回、延期を発表した6月12日の時点では交渉は最終段階に入っていると見られていたが、足元では暗雲が漂う。これまで合意に前向きな姿勢を見せていた、米ブラックロックやフィデリティなどで構成する債権者団は17日、「政府は解決策から遠ざかっている」として政府を非難する声明を発表し、「全ての利用可能な権利を考慮する」として、交渉を打ち切って裁判に進むことを示唆していた。
交渉が難航する背景には、アルゼンチン政府に対する不信感がある。経済が低迷する中、政府は一貫して「払える状況にない」として、当面の支払いを抑え、経済が回復してから返済すると主張している。債権者側も元本利払いの削減に応じるとしているが、詰めの段階で政府側が譲らず、膠着状態に陥っている。
フェルナンデス大統領は対外債務の不払いなどポピュリズム(大衆迎合主義)的な政策を掲げて大統領選で当選した。そのため、債権者に譲歩したと国民に受け止められると支持が離れる状況にあり、容易に妥協できない事情がある。