JOLED、中国TCLが200億円出資 有機EL共同開発

パナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLED(ジェイオーレッド)は19日、中国・家電大手のTCL科技集団と資本業務提携すると発表した。TCLが200億円を出資するほか、3年以内をメドにテレビ向け大型パネルの量産技術を共同開発する。JOLEDは大型設備を持たずに自社技術のライセンス供与で稼ぐビジネスモデルを目指す。
TCL科技集団傘下のパネル会社、TCL華星光電技術(CSOT)がJOLEDの第三者割当増資を引き受け、十数%の株式を取得。JOLEDが日本国内で大型パネルを試作するための設備投資費用として100億円を別途、融資する。
JOLEDが研究開発している「印刷方式」と呼ばれる製造方式は、発光材料をインクジェットプリンターのような装置でパネル基板に塗り分ける。現在主力の「蒸着方式」は真空中で発光材料を気化し、マスクと呼ぶ高価な部材を使って付着させる。印刷方式のほうが生産設備が簡易で、コスト削減や多品種対応にもつながるという。
テレビ向けの大型の有機ELパネルは韓国のLGディスプレーが市場シェアの大半を握る。大規模な設備投資が必要なため、自前の量産設備を持つのはリスクが高い。JOLEDは自社では大型設備を持たず、資金力のある海外勢に自社技術を提供するファブレス型の経営を目指す。
ただ、JOLEDは2015年に経済産業省が主導してパナソニックとソニーの有機EL事業を統合して誕生した経緯がある。JOLEDの戦略が軌道に乗るためには、海外企業への技術流出の防止策なども求められそうだ。