接触アプリ開始 「濃厚接触」通知後の行動など課題

2020/6/19 19:55 (2020/6/20 15:25更新)
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厚生労働省は19日午後、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性がある場合に知らせるスマートフォン向けアプリ「COCOA」の配信を始めた。人口の6割が導入しないと十分な効果が得られないとの研究もあり、どれだけ広く普及させられるかが課題となる。利用方法の周知徹底も重要だ。

COCOAは「COVID-19 Contact-Confirming Application(新型コロナウイルス接触確認アプリ)」の略で、「アンドロイド」や「iOS」を搭載する機種が対象。米グーグルやアップルのアプリストアで無料でダウンロードできるが、19日はストア内でアプリを検索できない状況も一部で生じた。

アプリをインストールし、端末の近距離無線規格「ブルートゥース」をオンにすると、アプリの利用者同士が1メートル以内に15分以上いた場合に接触記録を自動的にスマホ内に蓄積する。

アプリ利用者の中に感染者が出て、その人が感染したことをアプリに入力すると、その時点から遡って14日以内に接触していた人に通知が届く仕組みだ。

通知が届いた人は、アプリ上で症状の有無や身近に感染者がいないかなどの質問に答える。内容に応じ最寄りの帰国者・接触者相談センターなどの連絡先が表示される。

検査予約の機能はなく、受診するには自分で連絡する必要がある。検査の要否は診察した医師が判断するため、通知が来た人全員が検査を受けられるとは限らない。

プライバシー保護のため、アプリに氏名や住所、電話番号は登録しない。利用者同士の接触データは匿名で、感染者が誰なのかや、他の濃厚接触者の情報は知らされない。政府もデータを収集せず、感染者や濃厚接触者の行動履歴の追跡には使われない。

データは14日経過後に自動的に無効化され、アプリを削除した場合も記録が消去される。公開後1カ月間は試行版として運用し、利用状況に応じてデザインや機能などの修正を行う。

お互いにアプリを利用していないと接触データが記録されないため、接触検知のインフラとしての実効性を高めるには、どれだけ多くの人が利用するかがカギになる。

英オックスフォード大の研究では、アプリを人口の6割が使えば地域的流行を避けられるとされる。ただ6割という数字は日本で人気の対話アプリ「LINE」の人口普及率に匹敵する高さだ。

海外でも接触検知アプリの普及には苦戦しており、普及率が高いといわれるアイスランドでも4割程度にとどまる。日本でもアプリを利用するかどうかはあくまでも任意で、急速に普及するかは不透明だ。

アプリをどう活用すべきか、政府による十分な説明や環境整備も引き続き求められそうだ。

濃厚接触者であるとの通知を受けた場合、利用者が戸惑うことも想定される。現状では相談センターの連絡先が表示される程度で、例えば会社を休んで自宅待機すべきなのかどうかといった行動のガイドラインは示されていない。

感染者が感染したことをアプリに自発的に入力しなければ、濃厚接触者への通知も出されない。多くの部分が「利用者任せ」になっているのが実情で、利用者の裾野の拡大とともに、どう活用すれば実効性がより高まるのか、今後も検討が求められる。

アプリは米アップルとグーグルが共同開発した基盤技術を使い「アップル・グーグル方式」と呼ばれる。厚労省がパーソルプロセス&テクノロジー(東京・江東)に発注し、同社から日本マイクロソフトを含む2社に再委託され開発された。

接触アプリでは「アップル・グーグル方式」とは別に、オーストラリアやシンガポールがブルートゥースで集めた接触データを政府が管理する独自のアプリを導入する。

韓国やインド、ロシアなどは全地球測位システム(GPS)で感染者などの位置情報を追跡するアプリを使い、より詳細なデータを集めている。米国の一部の州もこうした追跡型アプリを導入している。

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