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コロナで変わる地銀ビジネス、対面サービス曲がり角

北洋銀行では店舗の窓口をアクリル板で覆うなどの対策を続ける(札幌市内の店舗)

新型コロナウイルス危機をきっかけに、北海道の地方銀行2行でも対面型サービスが曲がり角を迎えている。ATMを含む店舗サービスが敬遠される一方、スマートフォンやパソコンで完結するインターネットバンキングの利用者は急増。顧客との対面を収益につなげてきた銀行ビジネスも変化を迫られている。

北海道のある金融機関には新型コロナの感染拡大以降「ATMの画面は消毒しているのか」「不特定多数の人が触ったお札を換えてもらえないか」などといった問い合わせが相次ぐようになった。ATMの利用にすら慎重になる向きは根強い。

地銀も窓口をアクリル板で覆い、職員がATMの画面をこまめに消毒するなど感染防止の対策は続けている。だが4月の来店者数(前年同月比)は北洋銀行が15%減、北海道銀行は14%減といずれも大きく減った。

4月16日に政府が緊急事態宣言の対象地域を北海道を含む全国に拡大し、外出自粛にくわえて企業では在宅勤務の流れが定着。店舗を訪れる客は大きく減った。

北海道銀のATM利用者数は前年同月比1%減とほぼ横ばいだったが、北洋銀は9%減った。飲食店や百貨店などの休業が相次いで個人の現金需要が低下した。人や機械との接触が必要な金融サービスの利用が減る一方で、存在感を増しているのがネットやスマホのアプリを経由する非対面型のサービスだ。

個人向けネットバンキングは北海道銀で4月の契約数が20%増、3月以降の利用数は20~30%増と契約・利用がいずれも大幅に伸びている。

スマホで残高や入出金明細まで確認できる北海道銀の「どうぎんアプリ」は4月の新規加入者が前年同月比で約70%増。北洋銀もアプリで明細を見られる「ほくようスマート通帳」が5月までに前年同月比40%増で加入者が10万件を超えた。振り込みや残高確認をネット上で済ませていた顧客の傾向が浮かぶ。

1台で年数百万円の維持費がかかるとされるATMの利用が減れば、ATMを合理的な数に見直して経費を削減できる。メガバンクや地銀はATMの統合や他行との相互利用を進めており、オンラインに移行するのはコスト面を考えれば歓迎すべきことでもある。

利用者にとっても午後3時までしか利用できないサービスがほとんどの窓口に比べ、ネットバンクは使い勝手が良い。新型コロナで事業者向け融資が脚光を浴びる一方、銀行を訪れるのは住宅ローンなど限られた機会だけという個人客も多い。

わざわざ店舗に足を運ばなくてもスマホ一つで完結するサービスが増え、個人客との接点は減っている。新型コロナの影響でさらに対面機会がより少なくなれば、これまで進めてきた保険や投資信託などの関連商品を売る機会すら失われかねないとの危機感がある。

大手行にない地銀の強みは長く、地域に張り巡らせた店舗網を駆使し、顧客と対面して稼ぐポイントを見いだしていくビジネスモデルだった。ある地銀幹部は「コロナを機にしたデジタルの進展によって『地銀の特色をどう出していくのか』という本質的な問題を改めて突きつけられている」と受け止める。地域金融は古くて新しい問題に直面している。

(塩崎健太郎)
新型肺炎

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