大阪都構想、執念の再挑戦 4区再編 税収差など配慮

2020/6/19 15:45
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大阪市を廃止し特別区に再編する「大阪都構想」の制度案(協定書)が19日、大阪府議・市議らでつくる法定協議会(法定協)で可決された。総務省と協議したうえ、府・市の両議会で審議。11月にも実施される住民投票で可決されれば、2025年1月1日に大阪市は4つの特別区に生まれ変わる。

制度案は現在の24区を「北」「中央」「淀川」「天王寺」の4特別区に再編するのが柱。人口は最多の北区が約77万人、最少の淀川区が約60万人だ。

15年の住民投票で否決された案は、5つの特別区に分けるとしていた。各特別区の人口は約30万~70万人と差が大きく、財政格差が指摘された。今回は新大阪、梅田、なんば、天王寺といった企業が集まる地域を各区に配置し、税収面で大きな差が出ないようにした。

選挙で選ばれた特別区長が、子育てや福祉など住民に身近な業務を担う。住民に近い立場の区長が意思決定すべきだという「ニア・イズ・ベター」の考え方だ。各区長が競い合い住民サービスが向上するとの期待もある。

大阪市が担っていたインフラ整備などの広域事業は府に集約し、消防や水道も府に移管。これに伴い、市の一般財源約8600億円のうち約2千億円を府に移す。府と市が同じような役割を担う「二重行政」を解消する。

大阪市の約1万3千人の一般職員のうち、約1万1千人は4特別区にそれぞれ所属。残り約2千人は府の職員として働く。現在の市議会の定数83を人口に応じて各特別区の区議会に割り当てる。

15年の案は、特別区の庁舎新設などで最大約680億円の初期費用を見込んでいた。今回は庁舎を当面は新設せず、既存の区役所などを活用し初期費用を約240億円に抑える計画だ。庁舎に職員を収容しきれない特別区は、新北区役所(現・大阪市役所本庁舎)に間借りする。職員が分散することで災害時などの対応に懸念の声も出ている。

維新、ダブル選勝利で勢い

大阪市が政令指定都市になったのは1956年。都市計画などで広い権限を得たが、インフラ整備や産業振興を大阪府・市の双方が担い「二重行政」が指摘されてきた。

2008年に大阪府知事に就任した前大阪維新の会代表の橋下徹氏が10年に大阪市を廃止する都構想を提唱した。水道事業の統合などを巡り当時の平松邦夫市長と対立したことなどが契機になったとみられる。

知事、市長として行政改革を進めた橋下氏の主張に支持が広がる一方、市を廃止すると住民サービスが低下するとの不安も強かった。15年の住民投票で否決され、橋下氏は政界引退を表明した。

維新はいったん都構想を断念したが、松井一郎氏と吉村洋文氏が「再挑戦」を掲げた15年11月の知事・市長選でそれぞれ当選し議論が再開した。

住民投票の再実施について水面下で合意した維新と公明が時期などを巡り対立し、議論は膠着。松井、吉村両氏は知事・市長の立場を入れ替えて立候補する「ダブル選」に打って出た。反対派に圧勝したことで、公明は都構想賛成に転換した。

維新と公明が主導する法定協は19年12月に制度案の大枠を了承。20年11月に2度目の住民投票が実施される見通しとなったが、新型コロナウイルスの感染拡大という逆風に見舞われた。市民の意見を聞く「出前協議会」は中止。各党とも街頭演説や説明会ができない状態が続いた。維新は感染の状況を踏まえ、7月にも住民投票実施の可否を判断する構えだ。

前回の住民投票、北部の賛成目立つ

推進派と反対派が激しく争った2015年5月17日の住民投票は、投票率が66.83%に達した。賛成69万4千票、反対70万5千票で、得票率で0.8ポイント差という僅差の否決だった。

24区ごとにみると、賛成多数は11区。北、中央など大企業が多く集まる区が多かった。

反対多数は13区。中小零細企業が多い地域は反対票が多い傾向があった。中心エリアと切り離されれば、住民1人当たりの税収が減って行政サービスが低下しかねないとの懸念が強かったようだ。

2回目の住民投票のカギを握るとみられるのが公明党支持者の動向だ。前回の住民投票で反対運動を展開していた公明は、19年4月の大阪府知事・大阪市長のダブル選などで維新が大勝したことを受け、都構想賛成へと方針転換した。

共同通信社が15年の住民投票で行った出口調査では、公明支持層の87.3%が反対したと答えた。今回、公明支持層が賛成に回れば可決の可能性が高まるが、ある公明関係者は「支持者には反対論も根強い」と漏らす。

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