20年度の実質成長率はマイナス6.8%、21年度は3.4%成長 NEEDS予測
コロナ感染は小康状態も、景気持ち直しは弱く

2020/6/19 12:18
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日本経済新聞社の総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、内閣府が6月8日に公表した2020年1~3月期の国内総生産(GDP)の2次速報値を織り込んだ予測によると、20年度の実質成長率はマイナス6.8%、21年度は3.4%の見通しとなった。

20年1~3月期の実質GDPは前期比0.6%減(年率換算で2.2%減)だった。設備投資などが上方修正され、成長率は1次速報から0.3ポイント上方修正された。

国内の新型コロナウイルス感染状況は、5月25日の全国での緊急事態宣言解除後、比較的落ち着いている。しかし、経済への悪影響は続き、4~6月期の実質GDPは前期比7.0%減と大きく落ち込む。7~9月期以降も企業や家計は「新しい生活様式」への対応から慎重な行動が続き、景気の回復は緩慢となる。

■4~6月期の輸出は前期比2割減

各国の経済活動の制限などから海外景気は4~6月期の大幅な落ち込みが避けられず、日本の輸出も大幅減となる。財輸出の動向を示す日銀公表の実質輸出は、4~5月平均が1~3月平均に比べ18.0%低い水準だった。サービス輸出も大きく減少し、財務省公表の4月の国際収支統計では、サービス受取額が前年同月比39.5%減となった。とりわけインバウンド(訪日外国人)需要を示す「旅行」が同9割減と東日本大震災直後の11年4月以来の水準に落ち込んだ。感染予防のため、しばらくは厳しい入国制限が維持されるとみられ、今後のサービス輸出の盛り返しは期待できない。20年4~6月期のGDPベースの輸出は前期比22.0%減、20年度は前年度比24.3%減となる見込み。21年度は海外経済の持ち直しから同14.6%増となる。

■雇用・所得環境悪化で消費大幅減

4月の個人消費は大きく減少した。日銀の4月の実質消費活動指数(旅行収支調整済み)は前月比9.2%低下で、1~3月平均と比べると14.0%もの低下となった。なかでもサービス指数は1~3月平均より20.5%も低下するなど落ち込みが激しい。緊急事態宣言の発動で、消費者の外出自粛や店舗などの休業・営業時間短縮が広がった影響が大きい。

緊急事態宣言が延長された5月の消費も期待はできない。自動車販売の業界団体が公表した5月の国内新車販売台数(軽自動車含む)は、NEEDS算出の季節調整値で前月比22.1%減となり、4月よりも減少幅が拡大した。

雇用・所得環境も悪化している。総務省公表の労働力調査で4月の失業率は2.6%と前月から0.1ポイントの悪化にとどまったが、休業者が4月は597万人と前年同月から420万人も増加している。厚生労働省公表の毎月勤労統計では、4月の現金給与総額(調査産業計、共通事業所ベース)は前年同月比1.9%減少した。特に、残業代に相当する所定外給与が同15.6%減と大きく減少している。

4~6月期の消費は前期比5.8%減を見込んでいる。7~9月期以降の消費は前期比プラスに転じるものの、賃金の低下が下押し圧力となり、回復は弱いとみている。20年度の消費は前年度比5.2%減、21年度は同3.1%増となる見込みだ。

■厳しい企業の景況感、設備投資を下押し

新型コロナの感染拡大で、企業の景況感は大きく悪化している。内閣府と財務省が公表した法人企業景気予測調査では、4~6月期の景況判断指数(BSI)は大企業・全産業でマイナス47.6とリーマン・ショック直後の09年1~3月期に次ぐ低水準となった。同調査の設備投資計画(ソフトウエア含む、土地を除く)も、20年度は全規模・全産業で前年度比4.4%減が見込まれており、4~6月期調査では09年以来のマイナスだった。本予測では、景況感の悪化から設備投資は手控えられると想定している。

4~6月期のGDPベースの設備投資は前期比6.6%減の見通しで、7~9月期も前期比マイナスとなる公算が大きい。20年度は前年度比8.6%減、21年度は同4.0%増を見込む。

なお、今回のNEEDS予測は、日本経済研究センターが20年6月に公表した改訂短期予測をベースにしている。

(日本経済研究センター 田中顕、デジタル事業 情報サービスユニット 渡部肇)

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