中国ネット通販2位が上場、香港 本土勢の存在強まる

米中衝突
習政権
2020/6/18 21:00
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中国ネット通販2位の京東集団(JDドットコム)が18日、香港取引所に株式公開した。本土企業の存在感が一段と増す。中国が統制強化を進める中でも香港の金融安定を強調する狙いで、取引活性化へ期待が高まる。香港の自治が弱まって一国二制度が揺らげば、中長期的に世界のマネーが逃避するリスクもある。

アリババ集団の対抗馬である京東は米ナスダックと香港の重複上場となり、約300億香港ドル(4200億円弱)を調達した。募集枠に対し180倍近い申し込みを集め、株価は終日、公募価格を上回って推移した。

香港取引所の上場企業に占める本土勢の割合は時価総額ベースで70%を超すなど、近年は存在感の高まりが著しい。京東の上場でこうした傾向がさらに強まりそうだ。

通販事業などを統括する徐雷氏は同日午前に北京で開いた記念式典で「従業員一同、価格や供給の安定に全力を尽くす」と述べた。新型コロナウイルスが再燃するなかでのセレモニーの開催は、今回の香港上場が帯びる国策色を印象づける。

中国政府にとって、アリババや京東など米国上場企業の「香港回帰」は2つの意味で重要だ。トランプ米政権が中国企業への締め付けを強め、米国での新規株式公開(IPO)は大幅減少。資本面で制約が少ない香港での上場を進め、調達窓口を増やす必要があった。

11日にはゲーム大手の網易(ネットイース)が香港上場し、後続には検索大手の百度(バイドゥ)、旅行予約の携程旅行網(トリップドットコムグループ)の名前が挙がる。格付け会社S&Pグローバルは「中国企業の米株式市場へのアクセスが制限される中、香港への重複上場は資金調達源を増やす」と指摘する。

より大きな意義を持つのが香港の健在ぶりの強調だ。日米欧の主要7カ国(G7)外相は17日、香港の社会統制を強める香港国家安全法の早期制定をめざす中国政府に「重大な懸念」を示す共同声明を発表した。

中国側は京東上場を是が非でも成功させる必要があった。劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は18日に上海で開いたフォーラムに書面を寄せ、「一国二制度を堅持し、香港の金融センターとしての地位を支持する」と訴えた。

習指導部は中国本土市場への主力企業の上場も促す。舞台は習氏の肝煎りで上海証券取引所に開設した「科創板」だ。

習指導部は科創板を「中国版ナスダック」になぞらえ、上場までに必要な日数や手続き、基準を大幅に緩和した。半導体受託生産で中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が19日に上場承認を得る見込みのほか、自動車の吉利汽車控股が上場を表明した。米中対立は香港や台湾問題、半導体、貿易摩擦だけでなく、資本市場にも戦線を広げている。

香港国家安全法の制定で高度な自治が保障されてきた香港への中国政府の介入が強まれば、香港の繁栄を支えてきた一国二制度が揺らぎかねないとの懸念は根強い。中国側が描く資本市場の成長戦略とは裏腹に、香港が機能不全に陥れば、自らの首を絞める事態にもなりかねない。

(上海=張勇祥、香港=木原雄士)

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