EUが新規財源検討、デジタル税など案 19日首脳会議

2020/6/18 17:09
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欧州の経済復興が課題となっている(6月、イタリアのベニス)=ロイター

欧州の経済復興が課題となっている(6月、イタリアのベニス)=ロイター

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)が新規財源を導入する検討に入った。EUは新型コロナウイルスで打撃を受けた経済復興のために復興基金を設ける方針で、市場から資金を調達する。新規財源はその返済の一部にあてる。デジタル課税や国際炭素税などが浮上している。

EUは19日、首脳によるテレビ会議を開く。基金を巡る加盟国間の対立を解消できるかが焦点となる。新規財源についても議論する。

新規財源の案は(1)EU排出量取引制度の対象拡大(2)国境炭素税(3)法人新税(4)デジタル課税(5)再利用できないプラスチックへの課税――の5つある。EUの欧州委員会によると、例えば排出量取引制度では対象を海運や航空業にも拡大して年100億ユーロ(約1兆2千億円)の収入増を見込む。デジタル課税では7億5千万ユーロ以上の売上高がある大企業に課税して130億ユーロの税収増になるという。

欧州委は5月下旬、新型コロナで落ち込んだ経済の早期回復に向けて7500億ユーロ規模の復興基金案を提示した。欧州委が全額を市場から調達し、5千億ユーロを返済不要の補助金で、残りを返済が必要な融資の形とする。調達した資金はEU予算から返済するため、加盟国の拠出増と新規財源で償還にあてたい考えだ。

新規財源はEU本部の悲願でもある。現行のEU予算は、加盟国からの拠出金が65%、残りは主に各国の付加価値税の一部とEU域内への関税収入で成り立つ。独自財源を持てば、中長期的に加盟国の発言力が相対的に小さくなり、EUが重視する政策に取り組みやすくなる。デジタル税などの増税は企業負担の増加につながるため反対の声があがるのは確実で、実現には時間がかかる可能性がある。

前提となる復興基金の創設でも依然として対立が続く。「5千億ユーロの借金を背負い、その請求書を未来に送るのは責任ある姿勢と言えるだろうか」。財政規律を重視する「倹約4カ国」(オランダ、オーストリア、デンマーク、スウェーデン)の首脳は16日、英紙フィナンシャル・タイムズに寄稿し、欧州委の復興基金案に反対する姿勢を改めて示した。

新型コロナの被害が大きいイタリアなど南欧やEU中核国の仏独は欧州委案を支持するが、資金調達のための共通債券の発行は「債務の共通化」になると倹約4カ国は異論を唱える。財政状況が良い北部欧州が事実上、南欧の借金の肩代わりをすることを意味するからだ。

とりわけ復興基金の5千億ユーロが返済の必要がない補助金形式であることへの反発が強い。財政面でモラルハザードを起こしかねず、明確な返済スケジュールが必要として全額融資にするよう訴える。この案では支援を受ける側の財政が悪化するため、南欧諸国は受け入れにくい。

ミシェルEU大統領は16日、各国首脳にあてた書簡で「合意にはかなりの距離が残っている」と率直に認め、各国に歩み寄りを促した。倹約4カ国の一角であるデンマークが姿勢を軟化させたとの報道があるものの、19日の会議で合意できるとの声は少ない。メルケル独首相は16日、合意は7月になるとの見方を示した。

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