火災保険の「水災補償」 台風シーズン前に確認を
生保損保業界ウオッチ

日経マネー連載
2020/6/22 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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特約や補償範囲などが商品によって異なる保険の比較はなかなか大変。この連載では保険に詳しいファイナンシャルプランナーが商品選びの勘どころを紹介する。

◇  ◇  ◇

そろそろ台風シーズンに突入します。今年は新型コロナウイルスの感染終息がいまだ見通せず、感染拡大に自然災害が重なる複合災害が危惧されます。3密を避けられない避難所への避難に困難が伴うことも指摘されています。

日本災害情報学会は5月、「避難に関する提言」を発表、発災後にどう行動すべきか予め考えておくことの重要性を呼びかけています。

「避難」とは避難所に行くことのみを意味しません。「在宅避難」が可能なら飲食物等の十分な備蓄などの準備が必要でしょうし、在宅避難が難しければ知人・親戚宅へ避難できるよう、事前にお願いしておくことも必要でしょう。

シーズン前に併せて確認しておきたいのが、住まいや家財の火災保険です。2018年および19年は超大型台風により各地で被害が発生、損害保険金の支払いが2年連続で1兆円超となる過去に類のない事態になりました。被災はもはや他人事ではありません。

床上浸水や土砂災害で住宅や家財に損害を被った時、火災保険に「水災」をセットしていれば補償を受けられます。水災補償の付帯率は約7割ですが、これは火災保険加入者についての割合。あるNPOが千葉県のある被災集落で実施したヒアリング調査では、共済を含む火災保険加入率が2~3割だったとの結果もあります。

■火災保険は生活基盤を取り戻す財源確保の手段

水災補償の有無以前に、火災保険に加入しているでしょうか? 確認が必要なケースは意外に少なくありません。住宅取得時に加入した火災保険がローン完済後に切れたままになっている、古い家だから火災保険をかけても仕方ない、と耳にすることもしばしばです。住まいが損害を受ければ、最悪の場合、生活基盤を失うことになります。

住宅が新しかろうと古かろうと、再建に多額の費用がかかるのは同じ。修繕費用の確保は不可欠です。火災保険は生活基盤を取り戻すための財源確保の手段であり、古い住宅でも再建可能な保険金を受け取れるのが現在の主流。困った時に資金を受け取れるように、火災保険に加入しているか、水災補償をセットしているか確認を。

セットしている場合も、水災の補償要件は要チェック。火災保険の多くの約款は「(1)床上浸水または地盤面から45cm超の浸水」「(2)保険価額(※)の30%以上の損害」のいずれかを満たした時を補償対象としています。(1)は床上浸水となれば程度を問わず、地盤面から45cm超の浸水なら、床下浸水でも補償を受けられます。地下室は保険会社で対応が異なります。程度を問わず床上浸水をOKとする商品がある一方、45cm超の床上浸水のみ対象とする商品もあります。

(2)は床上浸水を伴わない土砂災害や土石流、落石などで用いる基準で、住宅等の損害が3割に満たない場合は保険金が支払われません。街中では想定しづらいですが、こんな損害が起こり得る居住地なら、5%以上の損害で保障を受けられるJA共済の「建物更生共済 むてきプラス『建物』」が選択肢。ただし積立型で掛け金は高めです。

※=保険の対象を金銭的に評価した金額で、時価もしくは同等物を再調達するのに必要な額

清水香(しみず・かおり)
学生時代から生損保代理店業務に携わり、2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。翌年、生活設計塾クルー取締役に就任。『どんな災害でもお金とくらしを守る』(小学館クリエイティブ)など著書多数。FP&社会福祉士事務所 Office Shimizu 代表。

[日経マネー2020年8月号の記事を再構成]

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著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/6/19)
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