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業績ニュース

手元資金、キーエンスは20カ月分 「頑固3兄弟」は盤石
決算ランキング(4)手元流動性比率

2020/6/18 11:00
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キーエンスは株主還元を抑えて手元資金を積み上げた

キーエンスは株主還元を抑えて手元資金を積み上げた

新型コロナウイルスは危機下の企業財務におけるキャッシュ(現金)の重みを知らしめた。平時であれば「資本効率を下げている」と批判されがちな分厚い手元資金が一転して評価される。株主還元に慎重でアナリストらに「頑固3兄弟」と呼ばれていたキーエンスなどFA(工場自動化)関連3社がにわかに脚光を浴びている。

日経500種平均株価を構成する3月期決算(変則除く)の企業を対象に「手元流動性比率」の高さをランキングしたところ、2位にキーエンス、4位にSMC、6位にファナックが入った。いずれも高収益の優良企業で、株主還元を抑えつつ、キャッシュを積み上げてきた。

手元流動性比率は現預金と換金しやすい有価証券などが月商の何倍あるかを示し、支払い能力の判断の目安となる。FAセンサーなどを手がけるキーエンスは2020年3月期末で20.5カ月だった。仮に売上高がゼロになっても、その間の通常運転資金に支障はないといえる。

キーエンスは生産のほとんどを外部委託するファブレス企業のため、現実にはもっと長期の危機にも耐えられるはずだ。コスト項目の多くが売り上げに連動しており、支払い負担も減るからだ。

前期は株式分割考慮後の実質ベースで増配したものの配当性向は18%にとどまり、上場企業の平均である約3割を下回っている。手元流動性比率は前の期末に比べて2.9カ月上昇した。

空気圧機器で世界シェア4割を握るSMCも同比率が12.8カ月と1.3カ月上昇した。21年3月期は設備投資を4%増やす計画で、「強固な財務体質を生かし、苦境の時こそ次に備える」(太田昌宏取締役)としている。

日経500種採用の同比率の平均は1.9カ月。キャッシュを手元に置かず必要なときに機動的に借り入れるコミットメントライン(融資枠)の契約も広がっており、同比率が10カ月を超えるのは8社しかない。

このため、キーエンスやSMCには「稼いだキャッシュを持て余している」という批判がつきまとっていた。キーエンスは昨年の株主総会で剰余金処分案への賛成が約69%にとどまった。

ところが、コロナ禍で一転して「財務が盤石」との評価が広がり、両社とも6月に上場来高値を更新した。りそなアセットマネジメントの羽生雄一郎氏は「余剰資金がむしろ評価につながっている」と指摘する。

研究開発にまとまった資金を投じる製薬会社は手元流動性が厚い(塩野義製薬の研究所)

研究開発にまとまった資金を投じる製薬会社は手元流動性が厚い(塩野義製薬の研究所)

研究開発や設備投資にまとまった資金を機動的に投じなければならない業種は、手元流動性を厚くする傾向がある。

5位の塩野義製薬は感染症、疼痛・神経領域に集中して研究開発効率を上げてきた。8位のロームは車載半導体などが振るわず設備投資を抑制。手元流動性比率が10カ月を超えた。ヒットが出るかどうかで業績の浮き沈みが大きいゲーム会社は7位に任天堂、11位にカプコンが入っている。

東京ディズニーリゾートの臨時休園は年換算で約1500億円の資金流出になる=共同

東京ディズニーリゾートの臨時休園は年換算で約1500億円の資金流出になる=共同

コロナショックが長期化するリスクを踏まえ、ランキング上位の企業も資金調達に動き出した。

同比率が7.3カ月で19位のオリエンタルランド(OLC)は、東京ディズニー・リゾート(TDR)を臨時休園しており、資金流出は年換算で1500億円規模とみられる。

さらにパーク拡張を含め年1000億円規模の投資が必要になる可能性がある。万が一、感染「第2波」などでTDRを営業再開できなければ、20年3月末で2811億円ある手元流動性の大半を1年で取り崩すことになりかねない。同社は5月までに取引銀行と2000億円のコミットメントライン契約を結んだ。

ケーズホールディングスは金融機関から400億円を借り入れて手元流動性比率を高めた

ケーズホールディングスは金融機関から400億円を借り入れて手元流動性比率を高めた

一方、集計対象のうち手元流動性比率が0.3カ月未満だった企業は9社あった。森永乳業は0.18カ月で同比率が最も低かった。食品メーカーは景気変動の影響を比較的受けにくいため、一般に手元資金は少なめだ。「緊急時に備え、コミットメントラインを設けている」(同社)。

店頭での売り上げが即日キャッシュで入る一方、仕入れ代金の支払いに猶予がある家電量販店も同比率が低い。ケーズホールディングスは0.23カ月、エディオンは0.26カ月だった。

もっとも、ケーズHDはコロナの長期化などを想定し、「4月に金融機関から400億円の短期借入金を調達した」(平本忠社長)。単純計算で同比率を約1カ月に高めたことになる。

(干場健太郎、岩戸寿、下野裕太、栗原健太)

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