中国・インド衝突、45年ぶり死者 緊張高まる

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2020/6/17 19:30 (2020/6/18 5:27更新)
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新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席したインドのモディ首相(手前)と中国の習近平国家主席(2016年10月16日、インド・ゴア州)=AP

新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席したインドのモディ首相(手前)と中国の習近平国家主席(2016年10月16日、インド・ゴア州)=AP

インド北部ラダック地方にある中国との係争地域で中印両軍が衝突し、インド軍の20人が死亡、中国軍も死傷者を出した。両国の衝突で死者が出たのは1975年以来、45年ぶりで極めて異例だ。双方とも対話を探る姿勢は示すが領土問題で譲歩する兆しはなく、緊張が高まる危うさをはらむ。

インドのモディ首相は17日、「兵士の犠牲は無駄にしない」と語り2分間の黙とうをささげた。「インドは平和を求めている。ただ刺激されれば適切な対応を取る」とも強調した。インド外務省は16日夜の声明で「中国と緊張緩和のために会談してきたが、中国側が合意を破った」と非難した。インド軍は「領土と主権を断固として守る」と一歩も引かない構えだ。

一方、中国外務省の趙立堅副報道局長は17日の記者会見で「インド軍は約束に違反して2回実効支配線を越えた」と主張。領土を巡る問題で譲らない姿勢を強調した。

インド軍によると衝突は15日夜~16日未明に起きた。当初の発表で死者は3人だった。現場は高地で、新たに死亡が確認された17人は衝突で負傷後、気温が氷点下になるなどの影響で死亡したという。中国側は発表していないが、43人が死傷したとの現地報道がある。

両軍は5月から両国の実効支配線のある湖パンゴン・ツォ周辺など数カ所でにらみ合い小競り合いが起きていた。中国軍が兵士5千~6千人を増強し、インド軍も同数を配置していた。

中国外務省によると王毅(ワン・イー)外相とインドのジャイシャンカル外相は17日、電話協議し、現地情勢を沈静化し地域の平和と安定を守る認識で一致した。電話は中国側からかけたとみられる。習近平(シー・ジンピン)指導部は衝突を巡る報道を抑えている。人民解放軍の機関紙、解放軍報は17日付紙面で衝突を伝えなかった。

中国はトランプ米政権からの圧力が強まるなか、インドとまで対立関係に陥るのは避けたいのが本音とみられる。ただ対外的に領土問題で譲歩する余地はない。インドも経済成長が鈍るなか、モディ政権には外交で弱腰の姿勢を見せづらい事情がある。領土を巡る争いでナショナリズムが高まればなおさらだ。

中印の政府・軍関係者は6月6日に協議し「平和的解決」をめざす方針で一致していた。北京の軍事筋は「上層部の交渉は順調だったが、現場でうまくいかなかった」との見方を示す。部隊同士が対立感情から不測の衝突に至るリスクはくすぶる。今回の衝突が殴り合いや投石などによるものだったとの報道もある。

トランプ米大統領は5月27日、「米国は両国の激しい国境紛争を仲介する用意があると伝えた」と表明し、仲介に意欲を示した。インドを引き寄せ対中圧力を強める狙いがあるとみられるが、現時点で中印とも米国の仲介に否定的だ。ロシアのプーチン大統領もモディ印首相との関係改善に乗り出している。中印対立を機に影響力を強める狙いが透ける。(北京=羽田野主、馬場燃)

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