5月訪日客は最少の1700人 中国わずか30人
日本政府観光局(JNTO)が17日発表した5月の訪日客数は前年同月比99.9%減の1700人だった。4月の2900人からさらに減少し、単月の人数として最少を更新した。海外では欧米や新興国で感染者の増加が続いており、訪日客の回復は当面見込みづらい状況だ。
国・地域別で見ると深刻な状況がより鮮明になる。昨年は約76万人が訪れた中国がわずか30人、60万人だった韓国は20人にとどまった。両国は2019年通年の実績では訪日客3200万人の半分近くを占めていた。
他のアジア地域でも状況は同様で、台湾や香港は10人未満、インドが30人だった。欧米でも米国が50人、英国やドイツ、イタリアなどが10人未満となっており、訪日客は消失した。入国者の多くは日本での在留資格を持つ人の再入国とみられる。
政府は2020年に訪日客を4千万人に増やす目標を維持しているが、1~5月の累計で394万人と目標の1割の水準にとどまっている。達成は極めて困難になっている。20年版の観光白書では政府目標の記載を見送った。
訪日客が大きく回復するのはしばらく先になりそうだ。国際航空運送協会(IATA)によれば、世界の国際線の旅客需要が19年の水準に戻るには24年までかかる見通しだ。日本の場合は19年に200万人を超える訪日クルーズ旅客がいたが、こちらも急な回復は見込みづらい。
観光産業への影響は大きい。訪日客の旅行消費は19年4~6月に約1.3兆円あった。4月に続いて5月も訪日客はほぼゼロとなり、状況は6月も大きな変化はないとみられる。今年の実績は7月に公表する予定だったが、調査のサンプル数が少ないため見送ることになった。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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