北朝鮮、開城と金剛山に軍展開へ 韓国の特使派遣拒否
【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の朝鮮中央通信は17日、開城(ケソン)工業団地と金剛山観光地区に軍部隊を展開するとの朝鮮人民軍総参謀部の報道官発表を伝えた。同通信は韓国側の出方によって「今後の連続的な対敵行動措置の強度と決行時期を決める」と主張した。
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南北経済協力の象徴ともいえる両地区に軍を展開することで、韓国側への圧力を強める狙い。17日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は開城の南北共同連絡事務所を16日に爆破した際の写真6枚を掲載した。
同通信は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が金正恩(キム・ジョンウン)委員長への特使派遣を提案する通知文を寄せたとも明らかにした。大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と徐薫(ソ・フン)国家情報院長を、北朝鮮側が希望する日時に送ると伝えたという。
一連の対韓国工作を主導する金与正(ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長は、これを「不純な提案を許可しない」と拒んだ。17日付の談話では、対話による解決を呼びかけた文大統領の15日の発言を「嫌悪感を禁じ得ない。厚かましい内容ばかりくどくど並べ立てた」と非難した。
軍総参謀部は開城と金剛山への部隊展開に加え、2018年の南北軍事合意で撤収した非武装地帯(DMZ)の監視所を復活させると表明した。前線の砲兵部隊を増強し、軍事境界線近くでの軍事演習を再開するほか、前線地域を開放し「人民の対南ビラ散布闘争」を展開するとしている。
韓国大統領府の尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官は17日の記者会見で、文大統領を批判した金与正氏の談話に「無礼だ。常識外れの行為だ」と反発した。韓国国防省は北朝鮮が表明した軍事行動について「実際に行動に移された場合、北朝鮮は必ず対価を払うことになる」との声明を出した。



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