米国債「大量に発行可能」 FRB議長が追加歳出促す

2020/6/16 23:00 (2020/6/17 5:10更新)
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米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は16日の米上院委員会で、「米国は基軸通貨国で、大いに国債発行能力がある。財政悪化を懸念するのではなく、今は歳出増で経済再生を優先すべきだ」と主張した。早期の財政立て直しを意識する米議会に対して、追加の新型コロナウイルス対策を求めた発言だ。

パウエル氏は上院銀行委員会で、半期ごとの議会証言に臨んだ。新型コロナによる経済活動の制限で、4~6月期の経済成長率は「過去例のない過酷な落ち込みとなるだろう」と指摘した。失業率の改善など米景気には底入れ感もあるが「雇用も生産も危機前の水準を大きく下回っている」と強い懸念を表明した。

米政権と議会は既に3兆ドル弱の新型コロナ対策を発動したが、パウエル氏は「生活者が新型コロナの封じ込めに確信が持てるようになるまで、経済は完全には復元しないだろう」と指摘。失業の長期化など経済の停滞を避ける必要があると強調した。

米議会には「FRBとともに追加対策の発動余地がある」と指摘し、歳出の一段の積み増しを求めた。共和党の財政保守派を中心に追加対策に慎重な意見もあるが「経済成長こそが将来の債務返済を手助けするものになる」と主張した。

FRBは量的緩和で大量の米国債を購入しており、中央銀行が連邦政府の債務を穴埋めする「財政ファイナンス」との指摘も出た。パウエル氏は「国債購入は市場の円滑な取引を支えるための手段」と述べ、禁じ手とされる財政ファイナンスを否定した。ただ、国債利回りが上昇する際には「それを抑える必要がある」とも述べた。

トランプ米政権は追加対策として、1兆ドル規模のインフラ投資や中間層減税を検討している。ただ、与党・共和党は失業率の改善で景気に底入れ感が出てきたため、大型の財政出動に慎重な意見が出てきた。7月末には失業給付の特例加算が打ち切られる方向で、市場では「財政の崖」による景気の下押しを不安視する声もある。

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