コロナでNPO苦境 活動ままならず、寄付金は減少

2020/6/16 19:24
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NPO法人「環境市民」で通常行っている講座の様子。感染拡大で対面式の活動は困難になった

NPO法人「環境市民」で通常行っている講座の様子。感染拡大で対面式の活動は困難になった

新型コロナウイルス禍でNPO法人が危機に直面している。感染リスクを避けるために活動自体ままならず、資金源となる寄付金や事業収入も減少している。コロナの影響は社会全体に広がり、人々の生活に支障を生じさせており、活動のニーズは高まっているとして国も支援に動いている。

「定額給付金でご寄付を 運営危機を助けて下さい」。里親制度の普及をめざすNPO法人「日本こども支援協会」(大阪市中央区)は5月1日、新型コロナの影響で運営が苦しくなっているとホームページで訴えた。

新型コロナウイルスの影響で苦境を訴えるNPO法人「日本こども支援協会」のホームページ

新型コロナウイルスの影響で苦境を訴えるNPO法人「日本こども支援協会」のホームページ

全国の里親に交流の場を提供する事業のほか、産後の母親らからの相談業務に取り組み、年約1500万円の運営費の7割は企業や個人の寄付でまかなう。新型コロナの影響を受けて2~5月の寄付額は前年比で約8割減少。大手ホテルチェーンが支援を打ち切るなど、4月に入って企業の継続支援がゼロになった。

岩朝しのぶ代表理事が1人で切り盛りし、職員は雇っていない。それでも家賃などで月40万円ほどの固定費がかかり、個人の貯金を取り崩すなどして乗り切ってきた。岩朝さんは「新型コロナの影響が長引き、児童虐待が増えているとの報告もある。今こそNPOとしての役割が求められており、可能な範囲で寄付してほしい」と語る。

子どもへの学習支援などを行うNPO法人「3keys」(スリーキーズ、東京・新宿)も運営が難しくなった。児童養護施設などで無償で勉強を教えていたが、感染リスクを考慮して対面の活動を休止した。支援が必要な子どもはオンライン環境がない場合も多く、長期休校で多くの子に学習の遅れが生じている。

運営を支える企業や個人の寄付金は今のところ大幅な減額には至っていないが「(コロナによる)経済の不振が長引けば寄付金などは真っ先に削られる」と森山誉恵代表は危惧する。

地球温暖化問題の啓発などを行う京都市のNPO法人「環境市民」では、コロナの感染拡大とともに2月ごろに依頼されていたセミナーや講演約10件が中止となった。自治体と調整中だった秋のセミナーもキャンセルになった。

中小事業者向けの持続化給付金はNPO法人も対象だが、収益事業の売り上げ半減などが要件となる。寄付金など収益事業以外の収入に頼る団体には使い勝手が悪く、下村委津子副代表理事は「よりNPOが使いやすい制度があれば」と話す。

政府はNPOなどに向けた緊急支援として、10年以上放置された「休眠預金」の活用を拡大し、50億円程度の助成を決めた。NPOの事業資金などに活用する制度が19年度から本格的に始まっており、今回は同制度内で緊急支援枠を設けた。

ただ支援の対象や使途は限定され、申請手続きにも労力を要する。

NPOに対する国の支援を求めて署名活動などを行ってきた有志グループの発起人の一人、小池達也さんは「苦境は夏ごろから本格化するのではないか。大切な活動を守るため、多くの団体にいち早い支援が必要だ」と話している。

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